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3章ー7 ページ15

「ご存知のようですが、私は我々国第一外交官のオスマンと申します。こちらがひとらんらん」
「どうも。ご紹介にあずかりました、幹部のひとらんらんです。今日は貴国の農産業についての勉強も兼ねて参加させていただきました」
「農産業の……申し遅れました。私、リドラ国一等官のAと申します」


両者と握手を交わしながら自己紹介をする。バツ印のマスクを着けた彼はひとらんらん様、と言うらしい。

わたしは"農産業"と聞いて、真っ先にシャオロンさんと一緒に行ったケーキ屋のことを思い出した。甘くて瑞々しい果物をはじめ、クリームのような酪農品までも手をかけていると言っていたか。じっと、目の前のひとらんらん様を凝視する。これといった理由はないけれど、数十年経験を詰んだベテラン農家のような方をイメージしていた。そのため、自分とそれほど歳が変わらなさそうな男性が作ったものだったのかと思うと、驚きもあるがいまいちピンとこなかった。


「Aさんは農産業に興味がおありで?なかなか珍しいかも知れませんが、うちは幅広く色んな事に手を出してるんですよ」
「存じ上げております。とても美味しかったので、どんな方が作ったのかずっと気になっていたんです。思っていたよりお若い方で、驚きました」


そう言うと、ひとらんらん様は意外そうに目を丸くさせた。


「・・・我々国へ来られたことが?」
「ええ、先日。とても気に入ったのでドライフルーツを持ち帰ったくらいなんです」
「本当ですか?光栄です」


嬉しそうに口元を緩ませるひとらんらん様の隣から、コホンと咳払いがひとつ。オスマン様の意図をはかりかねる視線を受けたひとらんらん様は、気恥しそうに視線を落とした。


「Aさんは、うちにご友人が?」
「・・・そうですね、良くしていただいております」


オスマン様から尋ねられる。私と接点のある人物の、その全員が彼もよく知っている相手だろう。実際、ゾムさんが名簿を見てオスマン様の名前を呼んだことを覚えている。だが、ここで彼らの名前を出すことは憚られた。曖昧に微笑むと、オスマン様も「いいですね」と笑みを浮かべる。

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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください! (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください!亀更新ですが頑張ります! (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください! (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遊麻 | 作成日時:2017年12月7日 16時

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