第五十六話 解 ページ10
詩音「________望月大輝。花梨さんの元恋人。龍也のお兄さんだから、私の従兄妹」
まさか、そこにもそんな繋がりが・・・。
姉の恋人が望月という名前を知った時から、先輩が脳裏にちらついた。本当に関係がある、しかも兄弟だなんて…。
詩音「だから余計に言いだしづらかったの。藤原君にも話した方が良いって言われたけど、嫌われたり絶交されるのが怖くて…って話している時にAが聞いちゃったんだと思う」
『そんな…』
お姉様の事で頭がいっぱいで、誤解だってことに今まで気づけなかったなんて。
愁はどう思っただろうか?自分が酷い人間だと決めつけられて、怒るのも当然だ。きっと許してはくれないだろう。
『私、愁に何て謝ればいいの…?』
詩音「…Aはどうしたい?」
『______謝りたい』
詩音「その後は?」
その後?その後は…
『______わからない』
詩音「はぁ〜・・・本当、世話の焼ける二人ね!」
『・・・ごめん』
詩音「別に起こってないわ。でも、藤原君も分からないって言ってたわ。二人共わからないんじゃどうしようもないじゃない…」
『愁はきっと私に嫌気がさしてるよ…。静弥の家に泊ることにも何も言わないし、このまま出て行った方が良いんだよ』
詩音「…それ、藤原君が言ってたの?」
『…直接聞いてはいない。でも、そうだよ。教科書も置いてあったのもきっと、帰る理由をつくらせないようにするため』
詩音「…じゃあ、本当にそう思っているのか直接本人に聞けばいいじゃない?」
そんなのできない…。
本当に愁がそう思っていたら、私は帰る家を一つ失うことになる。この先どう生きたらいいのかさえ分からなくなってしまう…。
詩音「藤原君には、今夜にでもAと話すように言ってあるから…そこで何も考えず、ただAの気持ちを言いなさい。できなければ…絶交するから」
詩音がそこまで言うのは初めてだ。詩音自身、絶交を恐れて私に本当のことを言うことを避けていたのに、自分から言い出すなんて…。
それほど私の問題に真剣に向き合ってくれている、ということなのだろうか。
だとしたら、私はそこまで真剣に考えてくれる親友スラ疑ったということになる…。もう、裏切らない。そのために今できることは・・・。
『わかった。愁とちゃんと話すわ』
詩音「・・・なら、藤原君に聞いて見なさい_____________」
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作者名:i | 作成日時:2023年12月7日 12時