第五十一話 観察眼 ページ5
『え・・・?』
麻(あさ)とは、お母様の名前だ。
静弥母「あら、もしかして聞いてなかったかしら?私と麻ちゃん、高校の同級生で結構仲良かったのよ?」
知らなかった。そういえば、中等部の大会の送り迎えをしてもらったのもお母様が頼んだからだったな…。それに、いくら息子の友達とはいえ、急に私を家に泊めることに何も抵抗が無かった…。
何より他人に迷惑をかけることを一番嫌うお母様が、人様の家に娘の私が急に泊るのを許すはずがない…。
『道理でことがスムーズに進むと思ったら…』
静弥母「親は、子どもが思っているより子どもを想っているから、Aちゃんもちゃんと自分の気持ちをぶつけてみたら?」
『はい…』
静弥「…母さん、お風呂空いたよ」
『!!…びっくりした』
静弥母「わかったわ」
静弥「…母さんと何話してたの?」
『いや、特には…』
静弥「そう。僕はリビングで寝るから、Aは僕の部屋を使って」
『え、それは申し訳ないよ…私がリビングに』
静弥「いや、それは駄目だ。」
『何で…?』
静弥「・・・A、今生理中、だよね?」
____________バレてたか。
お風呂はシャワーだけにしたり、ココアを持ってきてもらったのも静弥のお母さんには言ったからだ。生理用のナプキンも持ってなかったから何個か貰った。
だが静弥にバレているとは…。
『ごめん。迷惑かけちゃったね』
静弥「いや、良いんだ。多分その所為で色々不安定なんだと思う。Aらしくないなって思ってたから腑に落ちたよ」
流石医者の息子だ。男子高校生と言えば、生理という現象の扱いを間違えて認識している人が多い。でも、静弥は的確だった。
『ごめん』
静弥「謝ることはないよ。・・・今日はもう寝た方が良い。僕も部屋に物を取りに行くから一緒に行こう」
『わかった』
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作者名:i | 作成日時:2023年12月7日 12時