不釣愛２ [藤原愁] (ページ20)

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第六十六話　周りの視線その２ページ20

愁side

今朝学校へ行くと、周りからの視線がやけに気になった。いつも一定数の視線はあるものの、今日はその比ではない。

千一「おはよう、愁。…早速彼女と登校してたみたいだな？」

ニヤニヤと楽しそうに千が話しかけてきた。
彼女？・・・あぁ、Aのことか。そうか、Aは俺の彼女になったのか…。今までと何ら変わらない生活になると思っていたが、許婚と恋人とでは意味合いや互いの呼び方が違うらしい。

いや、それよりも…

愁「何故それを？」

千一「昨日、万次が忘れ物したって弓道場に戻ったら、お前らが抱き合ってたって大声で言ってて～…いつから付き合ってたんだよ？」

万が見かけた？それを千に言ったということは、今日Aに直接聞いてもおかしくない…
俺は急いでB組に向かった。

愁「・・・！」

『うわぁ！？っ』

教室を出た瞬間、誰かとぶつかってしまった。急に出たのがいけなかったようだ…

千一「おい愁！話は終わって・・・あ！？」

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そんなことがあって、今朝から周りの視線が気になった原因が漸く判った。他人の恋愛がそんなに面白いのか、教師までもその話題で盛り上がっていた。
…現に、Aの元に話しかけに行っている数学教師、もとい千田先生も例外ではないだろう。さっきからこちらを気にしている上に、俺と目が合うなりAに何か話して行ってしまった。

俺はそれを見るとAの席に行き、メモ用紙を渡して直ぐに自席へ戻った。内容は、暫く他の生徒の視線もあるから別々に帰ろう、という提案だ。

その後も何人もの生徒にAとの交際について質問されたが、全てプライベートだからと回答を断った。Aも同じような状況なら、さぞ迷惑だろう。この調子でAが俺の家にいることを知られては、更に大騒ぎになるだろう。暫くは一緒に帰れそうにないな…。

佐瀨「なぁ藤原。お前、高槻と付き合ってるのか？」

本村「大悟？今日その話をするのは良くないですよ」

愁「付き合っていますよ」

本村「藤原君・・・すみません。今日は学校中で話題になっていたので聞かないようにしようと思ったのですが…」

愁「お気遣いなく。先輩方には、きちんと報告する心算でしたから」

本村「そうですか。なら良かった」

どうやら3年生にも広まっていたらしい。