不釣愛２ [藤原愁] (ページ19)

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第六十五話　周りの視線その１ページ19

今日は数学の授業が1時間目にある。朝のことがあって、愁と一緒のクラスの数学があると思うと、少し気が滅入ってしまう。

万次「…大丈夫か？元気出せよ～？」

『誰の所為だと思ってるの？』

万次を軽く睨む。冷やかしも対外にしてほしい。

万次「ごめんって～まさかあんな反応するとは思てなくて～」

謝罪の意を感じない薄っぺらい言葉を吐く万次を他所目に、数学の教室であるA組に移動した。移動先では相変わらず私に視線を向ける人が多くいた。愁もいるため、余計に気になるのだろう。

千田「朝から二人の話題で持ちきりだね～俺もHRで釘打ったけど、当分は収まりそうにないね」

数学の担当の千田先生がニコニコしながら聞いて来る。先生は生徒の色恋に関して大変興味がおありの様で、よく生徒の恋愛相談にも首を突っ込んでいる。
私は先生が好きで数学を頑張っている面もあるのであまり気にしないが、やや焦る。

『まさかこんなに早く広まるとは…』

千田「まぁ相手はあの藤原君だからね。それで？この前二人で部活休んで武藤先生に謝りに来たのってその件と関係あるの？」

『まぁ…』

千田「そっか。朝の件も含めて、武藤先生が心配してたから気になって」

朝の件は千田先生が収めてくれて本当に助かった。

『すみません…』

千田「別に謝ることではないよ。…そうだ、今日の問題は高槻さんでも解くのは難しいと思うよ？」

問題とは、毎時間千田先生が出題する謎解きの問題のことだ。数学においてひらめきがかなり必要になってくるのと、頭を解すためだそう。

『本当ですか？じゃあ頑張って解かないと！』

千田「高槻さんにはいつも即答されるからな～。でも、そんなに真剣に解いてくれる生徒もいないからやり甲斐はあるよ」

『だって謎解き好きですから！…そういえば、この前授業で言っていたリアル脱出ゲーム、どうだったんですか？』

以前他の数学の先生と一緒に行くと言っていたので気になって聞くと、先生は少しよそ見をしてから栗を開いた。

千田「・・・あぁ、その話はまた今度ね・・・彼氏がこっち見てるから(ｺｿ)」

愁の席を見ると、ばっちり目が合った。朝は周りの目も気にせず怪我の心配をしてくれたのに、今は少し鋭い目をしている…。

千田「…進展あったら教えてくれてもいいからね？」

そう言って先生は黒板の方へ歩いて行った。すると、愁が此方に歩いてきて、机にメモ用紙を置いて行った。