不釣愛２ [藤原愁] (ページ18)

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第六十四話　噂話ページ18

登校中、数日ぶりに愁と共に登校すると、周りからの視線が気になった。
数日ぶりとはいえ、入学式以降も良くこうして愁と一緒に登校しているのに何故だろう？

教室に入ると全員が私を凝視した。席に着いてもなお、視線が刺さる。その中でただ一人、私に声を掛ける人物がいた。

万次「よう。今日は彼氏と一緒に登校したって？」

は・・・？

『…か、彼氏！？？？？』

万次「…何で本人が一番驚いてるんだよ…」

あ、そうか。愁は私の彼氏で、私が愁の彼女になったのか・・・じゃなくて！！

『何で知ってるの！？？』

「やっぱり本当なんだ！？」
「え、どうして付き合うことになったの？」
「いつから？」

『ちょ・・・』

詩音「みんなで寄ってたかって何しているの？Aが困っているでしょう？」

『・・・詩音！』

「だって、あの貴公子様と付き合ったって聞いて…」
「誰が告白してもフってばかりのあの貴公子が」

詩音「・・・は？A、どういう…って！」

万次「あ！逃げた！」

私は質問の嵐が止んだ一瞬の隙を狙って、一旦落ち着ける弓道場へ行こうと教室を飛び出した。(※廊下は走ってはいけません)

隣の教室のドアから、誰かが出てきた。

『うわぁ！！っ』

危ないと思って私は目を瞑りながら、できる限りスピードを緩めた。しかし、もう止まることのできる勢いではない。案の定そのままぶつかってしまった。

＿＿＿＿＿＿＿やはり、廊下でなくても走るのは危険だ。

愁「＿＿＿＿＿＿＿びっくりした。って…A？大丈夫かい？」

わぁお。ナイスタイミング。

千一「おい愁！話は終わって・・・あ！？」

万次「愁！」

双子も合流し、互いに目で合図をするかのように見合った。

千一「これはこれは～」

万次「態々飛びつくなんて～？」

千/万「「お熱いねぇ～～～」」

最悪だ・・・

周りからは女子の黄色い歓声と、男子のどよめきが聞こえてきた。

愁「なるほど・・・怪我は無いかい？」

『…///』

千田「何をしているのかな？廊下で騒いじゃ駄目だよ。さ、みんな早くしないとHRが始まるよ！」

偶々通りかかった千田先生が生徒を注意し、その場は収まった。
しかし、私の顔の火照りは授業中もずっと続いていた。