第五十九話 謎 ページ13
Aside
翌日、放課後。
無事に一日乗り切り、少し多い荷物を持って帰り支度をする。部室に置いておくと先輩たちに迷惑をかけると思い、教室に置いて来た。
荷物を持つ、と言った愁の声が何だかぎこちなかった。いつもなら微笑みながらスッと持ってくれるが、今日は少し震えた手を差し出しただけだった。
いくら互いの誤解が解けたとは言え、何人も巻き込んで騒ぎ立てたんだ。気まずくもなる。
久しぶりの藤原家。丸3日来ていなかっただけで、なんだか落ち着かない。
『やっと帰ってきたんだ…』
沙絵「A姉さま！おかえりなさいませ！」
私を見るなり、沙絵ちゃんが満面の笑みで駆け寄ってきた。私はそんな沙絵ちゃんに、ぎこちない笑顔で返す。
『ただいま…』
沙絵「具合はどうですか？まだ顔色がよろしくないようだわ」
『…うん、まだ疲れは溜まってるけど、もう大丈夫よ。心配かけてごめんね』
沙絵「いいえ！A姉さまを心配するのは当然です！」
愁「…沙絵、少しAを休ませてあげよう」
沙絵「そうですね。ではA姉さま、元気になったらまた遊びましょう！」
流石沙絵ちゃん。相変わらず小学6年生とは思えない程大人だ。
『…うん！』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
愁「…すまないが、Aの部屋へは合鍵で入らせてもらったよ」
教科書類を取る為に東条さんに合鍵を借りたのだろう。結果的に私も学校で困らなかったから。むしろお礼を言うべきだ。
『大丈夫。…荷物はその辺に置いておいてくれればいいから』
愁「…わかった。じゃあ、準備ができたら呼んで」
そう言って愁は部屋を後にした。
私は荷物を開け、洗濯物を出したり制服から着替えたりして心を落ち着かせた。
コンコンコン
愁の部屋をノックする。中から声が聞こえたので、勇気を出してドアノブを捻った。
『お、お邪魔します…』
愁「…コーヒーでいい？」
『っ、うん』
まるで客人のような扱いに少々戸惑いながら、入ってすぐのベッドに腰掛ける。
愁の部屋は無駄な物どころかソファすらないので、ベッドぐらいしか座る場所がない。コーヒーをミニテーブルに置き、私と向き合うようにして愁が椅子に座る。
『…愁に聞きたい事があるの』
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作者名：ｉ | 作成日時：2023年12月7日 12時
