不釣愛２ [藤原愁] (ページ12)

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第五十八話　教科書ページ12

静弥side

『えっ何？』

静弥「愁は今日の日課の分だけ持って来たんだよね？」

『そうだけど…』

静弥「なら、答えは一つだ。…何故愁はAの日課を把握していたのか？」

『日課表を見たんだと思う』

静弥「部屋にもあるのかい？」

『…あ、自分で持っているから昨日は部屋に日課表は無い…』

静弥「なら、全部の教科書を持って来るのが手っ取り早い。なのに、日課を把握していた上に今日の分しか持ってこなかったってことは…」

『今日の分だけで十分と思ったから…？』

静弥「そうだね。愁は今日にもAが帰ってくると思っていたんだよ。というより早く帰ってきて欲しいんだと思う」

ピコンッ

Aのスマホから、メッセージの着信音が鳴った。見てみると、愁からだった。

愁明日は
1,2.数Ⅰ 3.音楽 4.地理A 5.生物基礎 6.国語総合
で合っているかい?数Ⅰと国語総合は今日持って行ったから、それ以外の教科書とノートを持って行くよ。

静弥「・・・さすが愁」

ここまで完璧に把握しているとは…。まぁ僕も同じように把握すると思うけど。

『・・・』

静弥「そういえば、今日Aのお母さんから荷物を預かってきたよ。朝早く、愁がAの家を訪ねたみたいで、僕に渡して欲しいって頼んだんだって」

直接来ればよかったのに…素直じゃないから、態々Aのお母さんが風舞にいるのも思い出して行ったのだろう。

『・・・なんか、愁って器用なのか不器用なのか判らなくなってきた』

静弥「…思いっきり不器用だと思うよ」