不釣愛２ [藤原愁] (ページ11)

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第五十七話　誤解ページ11

Aside

静弥の家に着いてすぐに部屋を借り、愁に電話してみる。

Prrrrrr

愁『もしもし、A？』

『こ、こんばんは…？』

久しぶりにちゃんと話すと決めて緊張してしまい、変な挨拶をしてしまった…。

愁『こんばんは。・・・朔晦に言われてかけて来たのかい？』

『うん…』

愁『朔晦からは、どこまで聞いてる？』

『全部、だと思う。詩音のお父さん、望月先輩あたりの関係も、…愁とのことが私の勘違いってことも。______勝手に勘違いして、逃げ出して、ごめんなさい』

愁『・・・昨日、Aに勘違いされたかもしれない。急いで誤解を解かなきゃと思って急いで探したんだ。…そしたら、公園で静弥とAを見かけた』

え…、静弥と私が公園にいたところを、愁に見られていた…？
ということは、私が静弥に泣きついている所も・・・

『あ、あれは…！』

愁『あぁ、そこで冷静な判断ができなくなって、Aは俺ではなく静弥を選んだんだと思った…でも、違うんだろう？』

愁の言葉はとても冷静だったが、自分の感情を押し殺しているような声音だった。怒っているのか、呆れているのか…兎に角じわじわと追いつめられる感覚だけがあった。

『…うん。あの時は二人のことがショックで、お姉様の事もあって実家にも帰りたくなくて、どうすればいいのかわからなかったから』

愁『・・・それで静弥の家に今もいる、と』

『…うん。明日には実家に帰るよ』

愁『何故実家に？こっちには帰ってこないのかい？』

『・・・え？』

愁『・・・・・・できれば、明日は帰ってきて欲しい。直接話したい事があるんだ』

『…わかった。じゃあ、今回のことはお互い勘違いだったってことで』

愁『あぁ。それじゃあ、また明日』

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静弥side

家に帰るとAが電話をしていた。相手は愁だろう。

静弥「…どうだった？」

『静弥！おかえり…誤解だったみたい。お互いに』

静弥「そう」

『・・・ねぇ静弥』

静弥「なんだい？」

『今日、教室の机に教科書が置いてあったの。愁が今日の日課の分持ってきてくれたみたいなんだけど・・・どう思う？』

静弥「どうって…」

愁が今日Aが学校に来た時に困らないように教科書を用意したのだろう。だとすると、愁はAが学校に来ることがわかりきっていたみたいだ。それに、日課通りに持って来るなんて…

静弥「・・・あぁそう言うことか」