不釣愛２ [藤原愁] (ページ1)

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第四十七話　乱れる心ページ1

愁side

詩音『はぁ！？…Aが静弥と！？』

朔晦(たちもり)の声がスマホ越しに響く。
あの後真っ直ぐ帰宅した。荷物を全て学校へ置いて来てしまったせいで、東条さんにかなり心配をかけた。それに、今日からAが帰ってくる予定だったにもかかわらず、一人で帰宅したことについて、沙絵からも聞かれたが答える気にはならなかった。もうしばらく実家にいることになったと伝え、今に至る。

愁「あぁ。だから、もう終わりにしようと思ってね。来週あたり両親が帰ってくるから、その時に婚約破棄を提案…」

詩音『ちょっと待って！…藤原君はAと静弥を見かけて、そのまま帰ったってこと？』

愁「そうだ」

詩音『なんでよ！？』

愁「何故って…Aは俺なんかより静弥の方が良いみたいだからね。俺たちの関係も静弥に言っていたみたいだし、色々と辻褄が合うんだ」

静弥もこの前会った様子だと、Aのことを諦めてはいないようだった…

詩音『私には拗れているようにしか聞こえないんだけど…。結局、私たちの誤解は解けず、Aは今何処にいるの？』

愁「さぁ。Aの実家から連絡が無いってことは、連絡しないように言ったか静弥の家に行ったか…少なくとも一緒では無いからね」

詩音『もし静弥の家に行ってたらどうするのよ！？』

愁「如何するも何も、俺たちの縛りから解放されて静弥に甘えでもしている頃だろう…！」

言ってしまった。
本当は受け入れることができない。Aが、俺の側にいないなんて。
俺の家に来た時は何も無かった。嬉しそうな素振りも無かった。だが、もし今夜静弥の家に泊って、何かあれば・・・俺は耐えられない。

詩音『…本気で言ってるの？Aが静弥に靡くとでも？それでいいの？？！』

愁「元々静弥に気があったのなら筋が通る。それに、俺の所為で今まで沢山我慢させたんだ。Aが幸せになった方が良いに決まっている」

詩音『呆れた。これが貴方の言うことなの？』

愁「Aは静弥を選んだんだ。俺ではなく…」

詩音『えぇそうね。こんなに情けない男なら貴方にAは任せられないわ！』

・・・切られてしまった。

俺だってどうしたらいいかわからない。
こんなに取り乱したのも初めてだ。

Prrrr・・・・・・

今最も見たくない名前が、スマホの画面に表示された。

すぐに着信を拒否し、電源を切った。