里子、里親 ページ12
桃side
朝の9時。だいきくんはまだ寝てる。
そんなだいきくんを抱えて、とある養護施設に向かう。
向かってる途中も全然起きなくて、俺にしがみついて寝てる。
桃「ここやな…」
門の前では先生らしき人が。
桃「すみません。この子、ここの施設の児童ですか？」
だいきくんの顔を見せれば安堵したように。
先「だいきくん！保護してくれてありがとうございます。昨日夕方頃から居なくなってしまっていて…」
やっぱり、抜け出したんやな。
桃「あ、じゃあこの子お願いします」
まだ寝てるだいきくんを先生に渡そうとしたんやけど、
赤「っあ、いや、のんちゃ…」
俺の服の袖をぎゅーっと掴んで離さない。
先「もしお時間大丈夫でしたら、中の部屋で起きるまで待ちますか？」
桃「はい、そうします」
通された部屋で、だいきくんを抱えながら周りを見渡す。
そこには1枚の写真があって。ニコニコ笑う男の子と、ぎこちない微笑みを見せる女の子。
どうも、だいきくんに似てる。
まじまじと見てれば、先生が入ってきて。
先「その写真の子、だいきくんとだいきくんのお姉さんですよ」
桃「…え？そうなんですか？」
聞けば、だいきくんにはお姉さんが居て、2年前に一度この施設に預けられたらしい。
預けられてすぐ、お姉さんだけ里親が見つかり、だいきくんが一人に。
その後だいきくんの母親が、やっぱり連れて帰る とだいきくんを引き戻したそう。
桃「そんなことがあったんですね…」
先「嫌な思い出があるからこそ、昨日も逃げたんじゃないかなって思ってるんです」
小さい身体なりに一生懸命に生きてたって考えると、胸が痛くなる。
だいきくんの母親について聞こうとしたと同時に、だいきくんが起きた。
赤「ん、のんちゃ…」
桃「お、起きた？おはよう」
先「だいきくん。おはよう」
赤「え、嫌っ、なんで…！」
桃「おぉ、大丈夫やから暴れんな」
施設って分かった途端に嫌だと繰り返すだいきくん。
赤「…のんちゃん、のんちゃんのおうちがいい」
桃「っ、…」
そりゃ俺も里親になって連れて帰りたい。
でも金銭面も生活面も、だいきくんのことまで補えるかは確信出来ない。
でも、ほぼ無意識やった。
桃「この子の里親になります」
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作者名：ヨン | 作成日時：2021年12月16日 14時
