知らない番号 ページ8
.
駅で電車を待っている時にふと気づいた。
…及川さんの連絡先とか知らなかった。
連絡待ってますね、とか言ったくせに教えてもいないしどうしよう。
まぁなんとかなるだろう、と楽観的に考え、目の間でちょうど開いたドアをぼんやり見つめて電車に乗り遅れそうになった。
まだ反動でふらつく足取りで空いていた席に座った。
ちょっと混んでいるけど、二駅だけだし体調が悪いから座るの許して…と内心申し訳なく思いながらイスに座っていた。
----------------
がたがた、と揺れる車内ではみんなが下を向いてスマホをいじっていた。
私もその一人ではあるが、その光景を見てなんだか不気味に思えてしまった。
そんなことを考えているともう降りる駅で、すみませんと言いながらやっとの思いで降りた。
あまり人が降りる駅ではないから、混んでいる時は乗るのも降りるのも大変だ。
さっきより回復したのか、足取りはしっかりとしてきた。
駅から十分弱ぐらい歩いて家に着いた。
カバンから鍵を取り出して、ドアを開ける。
家の中はやけに静かで、お母さんが料理する音も聞こえなかった。
『ただいまー?』
返答は無く、静まり返った廊下を歩き、とりあえずリビングに行ってみる。
電気をつけるとこげ茶のテーブルに白い紙が置いてあったからすぐにそこに目がいった。
どうやらお母さんのメモらしい。
“A、ごめんね!!
一度帰ってきたのだけれど、会社の方で問題が起きちゃったらしくて…
多分朝に帰ると思う…夕飯は冷蔵庫に入ってるからチンしてね”
お母さんはいつも忙しかった。
お父さんは国内だけれど、単身赴任で家にはほとんどいなかった。
おかげで一人には慣れて、今にでも自立して一人暮らしが出来るほどだと思う。
頑張ってね、とお母さんに一言だけLINEを入れて自分の部屋に戻る。
慣れているはずなのに、先程とは一転した“ひとり”という状況に急に虚しさを感じた。
ベッドに寝転がり、目を閉じる。
このまま寝てしまおうか、その途端に瞼の裏に及川さんの顔が浮かぶ。
おかしいな、今日は本当に私変になったかも。
冷蔵庫から夕飯を取ってレンチンする気力もなく、寝てしまった。
------------
3時ぐらいに目が覚めて、ケータイを見ると知らない番号からの着信があった。
誰だかわからないけど流石にこの時間に人に電話をかけるのも迷惑だから無視した。
もう一眠りしよう、と再び目を閉じた。
ラッキーアイテム
ハミチキ
相性バッチリなキャラ
及川徹
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yum(プロフ) - 明花ーめいかーさん» コメ共に勿体無いほどのお褒めの言葉ありがとうございます!!とても嬉しいです!!更新ペース遅くなってしまうこともあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします(*^^) (2018年4月5日 10時) (レス) id: d2a45babe5 (このIDを非表示/違反報告)
明花ーめいかー(プロフ) - コメント失礼致します!お話の書き方がとてもとてもお上手ですね…!内容も続きが気になるようなもので素晴らしい作品だと思います!お気に入り失礼登録します!今後も無理のない程度に更新頑張ってください!応援しております.*。 (2018年4月5日 10時) (レス) id: 7724177e8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yum | 作成日時:2018年4月5日 1時