Touch and Go

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「....おかえり。笑」


「え...」




トイレから出ると




近くの壁に、さっきの彼が凭れてて




おかえり、なんて




また綺麗な笑顔を向けてくれて。




「部屋もわかんなくなっちゃったんでしょ？
連れてってあげる。笑」




....あ。




さっきの “ いってらっしゃい ” って
そういう事....？




ていうか、
知らない男の人にトイレ待たれるって微妙。




っていうか恥ずかしい。




「....でも私、部屋番号見て来なかったから、」


「そうなの....？」


「はい....」


「スマホは？」


「....置いてきちゃいました」


「あー....」




....呆れられちゃったかな。




初対面なのに、ホント恥ずかしい。




「なので、探しながら戻ります。
せっかく待っててもらったのに、」


「そしたらちょっと付き合ってよ...？ 笑」


「え、」




言うが早いか私の腕を掴むと




隣の男性用トイレに引っ張られる。




「え、ちょ...っ、あのっ」




私が踏ん張ったところで意味もなくて




あっという間に個室の中。




「知らない男に付いて来ちゃダメでしょ...？」


「...っ、」




鍵が掛かった瞬間そう言われて




壁に押し付けられたかと思ったら




....唇を塞がれた。




....彼の、唇に。




「ん...っ」




なんで....？




「....や、」




なんでこんな事になってるの....？




「...っ声出すと、バレちゃうよ？」


「...っ！」




とか言いつつ腰押し付けて来てるし....！




「...やめ、っ」


「ん...無理、」


「...っ！」




少しだけ出来た隙間から




彼の温かい舌が滑り込んで来て
私の舌を追い掛けるけど




逃げるだけ無駄だった。




口の中なんて狭い空間で




逃げ切れる訳がないんだから。




「んぁ...っ」




....知らない男の人とキスなんて
嫌なはずなのに




どうして私は応えちゃってるの....？




なんで逃げないの....？




「...っイイ顔、するね？ 笑」


「...っ」


「....たまんない、」


「ぁ....っや、」


「....声出すな、って」


「っ」




そんな事言われても





彼の手のひらが





胸に触れるだけじゃなくて動くから






我慢しようと思っても勝手に出て来ちゃう。







....どうしよう。








こんなの初めて....。





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