Touch and Go

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視界に入った顎のラインが綺麗で
思わず見惚れちゃったけど




チクッとした痛みに我に返った私。




「っ何を....っ、」


「....だから、俺の事忘れないおまじない。笑」


「だからなんで....っ」




っていうか近い。




近すぎる。




少しでも動いたら唇が触れちゃいそうな距離。




「....そういう反応、新鮮。笑」


「、」




答えになってないし....！




「言ったでしょ....？
Aちゃんの事気に入ったし、
....また会いたいから。笑」


「っ、」




そう言うと




今度は親指で




私の唇をゆっくりなぞる。




....彼の目線は唇にあって




少し伏せられた目がまた色っぽいなって思って




親指以外の指先が頬に触れて冷たかったけど




なぜだか身動きが取れなくて。




....金縛りにでもあったみたい。




「....今日はなんにもしないって
言ったから、また今度ね？ 笑」


「...っ」




彼は一瞬だけ私と目を合わせると




スッと私から手を離した。




....だけど、握られた手はそのままで




「ほら、行こう....？ 笑」


「え...っ」




そう言ってまた歩き出す。




「私、帰ります....っ、」


「付き合ってくれたら帰っていいよ。笑」


「や、そんな....っ」




この人、思った以上に強引だ。




ていうか、人の話を聞いてくれない。




「あんまり拒否ると、
予定変更して襲うけどいい....？」


「、」




何それ。




しかもその




獲物を目の前にした獣みたいな目。




ゾクっとしちゃう私もどうかと思うけど




野性的なんだけど色気があって




....この人ってやっぱり危険。




素直に付いて行っても危ないと思うけど




逆らったらもっと危ないと思うから




仕方ないけど抵抗をやめた。




「....ん、いい子だね。笑」




彼は満足そうに笑うと




一旦止めた脚を動かし始めた。




路地に入ると




迷路みたいに細い道を




どんどん奥に進んでいく。




....帰れるかな。




っていうか




こんな所にホストクラブなんてあるの....？




「え...」




いくつかの角を曲がって辿り着いたのは




前面がガラス張りの




小ぢんまりしたお店。




「...ここ、」


「ん、俺の仕事場。笑」





そう言って笑うと






彼は私の手を引いたまま








お店のドアをゆっくり開けた。





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