Touch and Go

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「Aさん、手伝える事ありますか？ 笑」




そう声を掛けられて顔を上げれば




一日仕事をしたとは思えないくらい
爽やかな笑顔のチョンくんがいた。




「私は大丈夫だよ....？ 笑」




なんで？と思ってそう答えると




「そんなに書類広げてるのにですか？ 笑」


「え...」


「それにもうすぐ定時ですよ....？ 笑」


「....あ、」




言われて初めて気が付いた。




もうすぐ定時だって事も
デスクの上が大変な事になってるのも。




「やっぱりAさん、
なんか今日変ですよ....？ 笑」


「そう....かな？」


「そうですよ。笑」


「....」




....やっぱり変か。




ていうか変だよね。




自分の状況がわかってないとか。




「でも大丈夫。もう上がれるから。
ありがとうね？ 笑」


「....いえ、」




ん....？




「....上がれるなら、飲みに行きませんか？」


「え....でも私、」


「ていうか付き合ってください。
僕が飲みたいんで。笑」


「、」




そういう事....ね。




「それじゃあ、
お料理が美味しいとこにしてね？ 笑」


「....ありがとうございます！笑」




チョンくんが飲みたいだなんて




何か相談事でもあるのかな....？




でもまあたまにはね？




「そしたら僕片付けて来ます。
Aさんも早く片付けてくださいね？ 笑」


「....はぁい。笑」




可愛い後輩の為なら
一肌脱いじゃいますか....？




「....あ、他の人は誘っちゃだめですよ？ 笑」


「....うん、わかってるよ。笑」




相談と決まった訳じゃないけど




もしそうだったら悪いからね。




ニコッと笑って自分のデスクへ戻る
チョンくんを見送って




私もデスクの上を片付け始める。




....ていうか何これ。




意味もなく散らかってるだけなんだけど。




ホント変だわ....。




....だから、




元はと言えばテヒョンが、




「....やめよう」




テヒョンの事考えたら
昨日の事思い出しちゃうだけだから。




....きっと思い出しちゃうのは私だけ。




テヒョンはなんとも思わないんだろうな、




って考える時点でかなり惹かれてるのかも
知れない。




だけど考えない。




テヒョンの事は忘れる。




あんな事は昨日だけ。




....もう二度と会わないんだから。





「....早く片付けちゃおうっと、」






いつまでも頭の片隅にいるテヒョンを
追い出すかのように頭を振って







片付ける事に専念した。





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