Touch and Go

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「....ごちそうさまでした」




何を話すでもなく




彼に見つめられたまま
なんとか一杯飲み切ったけど




この空間に居づらくて




ごちそうさまって言って
強制終了しようと思った私。




「もう一杯作ってあげる。
ちょっと待ってて....？ 笑」


「え、あの、」




言うが早いかグラスを下げて




あっという間に
カウンターの奥へ消えたテヒョンさん。




私の考えなんて、
まだまだ甘いって事か....。




「....名前、聞いてもいい？」


「、」




その声に顔を上げると




私の目の前にはマスターさん。




「....A、です」




フルネームで教える必要もないかと思って




とりあえず下の名前を言ったけど




マスターさんなら大丈夫だよね....？




「....Aちゃんね。
俺はテウ。ここの雇われ店長兼マスターね。笑」


「っ、」




よろしく、なんて手を出されたら
知らん顔する訳にいかなくて




私も手を出してマスターさんの手を緩く握ると




大きな手にぎゅっと握られた。




「アイツとどこで知り合ったか
聞いてもいい....？」


「え...」


「あ、変な意味じゃなくてね？
アイツがここに女の子連れてくる事なんて
滅多にないからさ。笑」


「....」




どういう事....？




「だからさっき聞いたんだよ。彼女かって。笑」




....余計にわからない。




女の子連れて来る事ないってホント....？




この間みたいにああやって落とした子とか




ここへ連れて来てたくさん飲ませて、




ってなに考えてんの、私。




「差し支えない範囲でいいから、ね？ 笑」


「、」




ね？ って言われても、




「俺、アイツの親代わりみたいな
もんだからさ？ 笑」


「え....そうなんですか？」


「そう。アイツは俺の兄貴の子でさ。
大邱からソウルに出て来てからは
俺が目を光らせてるんだけど、
アイツあの通り自由だから。笑」


「....」




いいのかな。




そんな事聞いちゃって。




だけどマスターさん、
親代わりみたいなものだって言うし




どこで出会ったかくらいは
言ってもいいのかな....。




「....カラオケ、です」


「....ナンパされた？」


「....っ、似たような、ものです」


「....そっか。ありがとう。笑」





ちょっとドキっとしたけど
別にあの事がバレた訳じゃないんだし、






「....おまたせ、って
何話してたの？ 笑」


「っ、」








もっとドキっとしちゃったよ....。





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