拾われたボク 3

143 ページ44

.



「Aさん......っ、ここじゃ、だめだよ、っ」




合わさった唇はどんどん深く重なって




Aさんが引っ張るから
壁に押し付けるみたいになっちゃって。




身体が固定された分




またキスしやすくなって




だんだん、歯止めが効かなくなって来た。




まだ玄関だし、靴だって脱いでないのに。




「......ん、遠慮、しないんでしょ....？」




確かに、しないって決めたし言ったけど




ここでそれはヤバいでしょ......？




「.....ここで、いいから、」




......いやいや、だめだって。




「ん......っだめ、だよ、」




理性を掻き集めて




Aさんの甘い唇から逃れてそう言うと




「......いや、なの？」


「え....ちが、」


「やっぱりもう私となんて、」


「Aさん......っ」




何を言い出すのこの人は......！




「僕の話聞いてた......？」


「.....ん」


「嫌いになる事ないし、好きって言ったよ....？」


「......ん」


「僕の傍にいて欲しいとも......」


「......ん。笑」




ん......？




「Aさん.....？」




もしかしてわざと......？




「......だって、ジミンくんが欲しいんだもん。
私を安心させて？ジミンくんのだ、って。笑」




ホント、Aさんには敵わないや......。




「......じゃあここじゃなくて、」


「たまにはよくない......？笑」


「だめ。よくない」


「ジミンくんのけちんぼ......」




けちんぼ、って......。




「Aさんの事ちゃんと抱きたいから
ここじゃだめ。絶対だめ.....！」


「......」




......あれ？僕変な事言った.....？




「Aさん....？」


「もう一回言って......？」


「......”絶対だめ“？」


「そうじゃなくて、」


「”ここじゃだめ“.....？」


「もう！そこでもなくてその前......！」




その前......？




..........あ。




「Aさんの事、ちゃんと抱きたいから......」




これ......？




「......ジミンくんがそんな事言ってくれるなんて」




Aさんの顔が近付いて




僕の唇をちゅっと啄む。




「ちゃんと、抱いてくれるの......？」


「....うん」




改めて言われると照れるんだけど。




「......じゃあ私も。笑」


「え......」




私も、って......なにが？





「ジミンくん上がって？......ベッド行こ。笑」






すっかりAさんのペースだ......。





.

144→←142

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す