拾われたボク 3

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ハイヒールを履いたままのAさんは、
僕とあまり背の高さが変わらないから




ぎゅうっと抱き締めてる分
首筋に顔を埋めるようになっちゃって




こんな時なのに




Aさんのいい匂いが鼻先をくすぐって




......変にドキドキして来ちゃった。




どれくらいこうしてるのかな......。




5分くらいにも感じるし




30分くらい経ってるようにも感じる。




どっちみち、そろそろ離れないと僕がヤバい。




......と思ったら




「......ごめんね？ありがと、」




そんな言葉と同時に、Aさんの腕が緩んだ。




「......もう、大丈夫？」


「......うん。ジミンくんのおかげで落ち着いた」




力なく笑ったAさんと目が合って




どちらからともなく、唇を重ねた。




触れるだけの......優しいキス。




「......ごめんね？上がって？」


「....うん。おじゃまします」




唇が離れるとそう言って




僕からも完全に離れていく。




......ホントに、大丈夫なのかな？




後ろ姿が弱々しくて
抱き締めたい衝動に駆られるけど




大丈夫、って言うなら僕は我慢しないと。




Aさんはもう望んでないかも知れないし。




「先に座ってて？」




そう言われてソファに座ると




台所に向かったAさんを待つ。




......今度は違う意味でドキドキして来た。




「ごめんね？お湯沸かすの時間掛かるから
時間短縮で麦茶だけど。笑」


「Aさんの麦茶好きだからいいよ....？笑」




いつもみたいに笑ってくれたのが嬉しくて




僕も笑い返した。




「......今日、急に誘ってごめんね？」




僕の隣に座るとそんな事を言ったAさんに




「Aさん、さっきから謝ってばっかり。笑」




そう言ったら




「だって......」




また、笑顔が消えて




今度は俯いちゃった......。





僕のせいだやっちゃった、って思ったけど






何があったのか話してくれそうな雰囲気に







さっきよりもっと、胸がうるさく騒ぎ出した。





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