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タクシーを降りてから、後悔した。




だって、見上げた先のユンギの部屋は
灯りが点いてない。




寝ちゃってる、か......。




やっぱり、今日は来るべきじゃなかったんだ。




チョンジンさんと別れた直後に、
ユンギのところに来るなんて。




「......バカだな、私」




ユンギの部屋を見上げたまま




その場に立ち尽くす。




......あそこにユンギがいる。




合鍵持ってるんだから、
入ろうと思えば入れるけど




会いたいと思う気持ちとは裏腹に




なぜだか脚が動かない。




......このままここにいても仕方ないし




今日は帰ろうかな、と思ったその時




「......A?」




うしろから、愛しい人の声が聞こえた。




「......ユン、ギ?」




振り返ると




そこには、部屋着のままコンビニの袋を下げた
ユンギがいた。




「こんな時間に、どうした......?」


「あ......ごめん、連絡もなしに来ちゃって、」


「それは別に構わねぇけど、
なんかあったのか......?」




目の前にユンギがいる事が嬉しくて




また、涙が込み上げる。




「......別に、っなにも、」


「じゃあなんで泣いてる......?」




......矛盾してる。




ユンギに会いたくてここまで来たのに




今度はチョンジンさんの事が頭を過ぎって




ユンギに素直になれない私がいる。




本当は、今すぐユンギの胸に飛び込みたい。




今すぐ、抱き締めて欲しいのに......。




「......ごめんっ、今日は帰る......っ」


「おい、A.....っ」




ユンギの横を通り過ぎた時




ユンギに腕を掴まれた。




「......離して、っ」


「離せる訳ねぇだろ。そんなに泣いてんのに」


「っ、」




言いながら、ユンギの腕に包まれた。




......あったかい、ユンギの腕に。




「......何があった?」




私が好きなユンギの香りに包まれて




何も言えなくなった私は、
ただ首を横に振った。




「........彼氏?」




そう言われて、




思わずユンギの背中をぎゅっと掴んだ。




「......バレたのか」




私のその動きに何かを悟ったのか




ぼそっとそう言ったユンギ。




肩を掴んで身体を離すと




「俺のところに来たって事は......
もう、いいんだな......?」





俯いた私の頭の上から、
ユンギの真剣な声が聞こえた。






......ゆっくり顔を上げてユンギを見つめると







私ははっきり、頷いた。





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Agust d(プロフ) - 切ないですが、とても素敵な愛の作品でした ユンギもチョンジンさんも紳士過ぎて泣けてきました (2019年5月6日 21時) (レス) id: fea73733b9 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 久々のみんみんさん作品です…やっと補給できました…私もみんみんさんの書くユンギが好きです!やっと読めました!私の元気の源!チョンジンさんもあの大人な落ち着いた感じ…やっぱりみんみんさんの作品だいすきです。 (2018年3月9日 18時) (レス) id: eea6891b86 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん(プロフ) - ジョンファさん» チョンジンさんわかってもらえて嬉しい(>ω<)♪そう!大人の男!笑 おかげでめっちゃ大人なお話になりました!奪いたいけど奪えないユンギだったからねぇ...実らせました!笑 こちらも読んでくれてありがとうございましたー♪ (2017年7月13日 22時) (レス) id: 913e7f0df7 (このIDを非表示/違反報告)
ジョンファ(プロフ) - みんみんさん、今度はチョンジンさんでしたね!すぐわかりましたよ!大人の男ですね(*≧∀≦*) ユンギの恋が実って良かった良かった! (2017年7月13日 17時) (レス) id: 7527a047c0 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん(プロフ) - sugarさん、コメントありがとうございます♪このお話は切なさ目指したので、泣いて頂けるものが書けたんだなぁ...と感動しております(笑)ユンギも気に入って頂けたようでよかったです♪読んでくださってありがとうございました! (2017年2月10日 11時) (レス) id: 913e7f0df7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みんみん | 作成日時:2016年8月28日 0時

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