あ な た が ほ し い

43 ページ43

.



なんとか収まった涙。




まだ目尻に残る涙を吸い取ってくれて




指先や手のひらで頬を拭ってくれる。




それだけで全身がふるりと震えるなんて。




だけど、最初に唇に触れたきり




......キスをくれないホソクくん。




頬とか




首筋とか




胸元には触れてくれるのに......。




「......ホソク、くん、」


「......ん？」




......焦れったい。




わかってるくせに......。




「......どう、したの？」


「ん......っ、いじわる、」




私には、そう言うのが精一杯。




「......キス、欲しい？」


「......ほし、い」




......ホント、意地悪。




「......可愛い。笑」


「......っ、」




そう言って微笑うと




やっと降りてきた、ホソクくんの唇。




「ん......ぁ、」


「......ん、たまんない、」




噛んで、舐めて、吸い付かれて......。




......私だって、たまらない。




「や......ぁ、ホソク、っ、」


「......なに？」


「も......いや、」


「、それ.....いい、って事....？」


「ん......っ」




もう、なにがなんだかわからない......。




......それからのホソクくんは




唇はもちろん、




全身に触れてくれて




私をふわふわと




違う世界に連れて行ってくれた。




前にも一度、身体を重ねてるのに




その時を思い出せないほど




今の私はおかしい。




「あぁ......、んっ、やぁ、」


「っ......A、」




気持ちが通じ合ってると




こんなにも違うなんて。




......気持ちいいとか、そういう問題じゃない。




心が......充たされる感じ？




......私は、ホソクくんのなんだ、って




ホソクくんに愛されてるんだ、って......。




そう思ったら




......やっぱり、溢れて来ちゃった涙。




「......泣いてる、の？」


「ん......っ、ぁ、」


「......っん、泣かないように、
するんじゃ、なかったの....？」


「......っごめ、んっ、」


「......ん、いいよ、」




また、涙を拭ってくれる。




「っ.....ホソク、く、」


「......ん？」


「......っ、好き、....っ」


「ん......、俺も、好き......っ」





ホソクくんは私をぎゅっと抱き締めてくれて







そのまま、二人で高い場所まで昇って行った。





.

44→←42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す