あ な た が ほ し い

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「泣くなよ....」


「......っ、だって、っ」




ホソクくんが、私の事を好きって言った......。




手の届かない人だと思ってたのに。




「......さっきの、俺の事が好きって思っても
いいの......？」




さっきの......？




「好きな人に、好きでもないのに
抱かれたくないって、俺の事好きなんだよね？」




......そういえば、そんな事言っちゃった。




「そうだったら......嬉しいんだけど」




私の手を握ったままひじを付いて




その指先に唇をあてる。




「......俺の事、好き？」




唇を付けたまま喋るから




くすぐったくて......変な感じ。




返事をしたら、
声を上げて泣きそうだったから




私は黙って......頷いた。




それを確認したホソクくんは




目を細めて




私が見てもわかるくらい




嬉しそうに笑った。




「......じゃあ、もう泣かないで？」




......それは無理。




私は首を横に振った。




だって、今度は嬉しくて、夢みたいなんだもん。




「俺達、想い合ってるんだよ......？」




......うん、信じられないけど。




「......俺、Aちゃんの声が聞きたい」


「......っ、」


「Aちゃんの声で、"好き"って聞きたい」




そんな優しい顔しないで。




......ズルいよ。




「......言って？」




相変わらず、指先に触れたままの唇......。




「言わないと食べちゃうよ....？」




人差し指を、軽く唇で挟む。




「......やっ、」




ゾクッとして、思わず声が漏れた。




「早く......言って？」




今度は、歯を立てる。




ホソクくんの舌が指先を掠めて




そこから全身に




甘い痺れが走る。




......優しいと思ったのに。




こんな時にブラック出すの......？




「......す、き」


「ん？」


「ホソクくんが......好き」


「......ハンカチ退けて？聞こえない」




........意地悪。




顔を見られるのは恥ずかしかったけど、
覆ってたハンカチを外して




「......ホソクくんが好き」




涙声ながら、ハッキリ言った......つもり。




「......ん、俺も好き」




ホソクくんは満足そうに笑うと




そのまま指先を口に含んで




少しだけ舌を絡ませてから




ちゅ、っと音を立てて離した。




「......っ、」




身体の奥が、変な感じ。





「好きだから......いいんだよね？」







......ホソクくんの瞳の色が変わった気がした。





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