あ な た が ほ し い

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「......言えない」


「それじゃあだめ。おいで？」


「え....」




また私の手を引こうとするから




「もうやだ......っ」


「Aちゃん？」


「私を振り回さないで......っ」




とうとう、我慢出来ずに言っちゃった。




「なに言ってんの？振り回してるのは、」


「私じゃない......！ホソクくんだよ......！」




......もうこれで、二度と会えないかも知れない。




だけど、このままホソクくんに
振り回されるのもいや。




気持ちを伝えて、拒否されるのもいや。




それだったら、元に戻せばいい。




遠くからホソクくんを見てるだけの、私に。




「離して......っ」


「......やだよ」


「なんで......っ？」


「離したくない」




ホソクくんの手を振り解こうとしても




離れるどころか




余計にぎゅうっと握られるだけ。




「.......もう、やなの」


「......なにが？」


「......キスされるのも、それ以上、されるのも」




ホソクくんを見れなくなって俯いた。




だって、こんな事わざわざ言いたくない。




「俺の事嫌いなの......？」


「そうじゃなくて......っ」


「....じゃあなんで？」




ホソクくんが好き、って言えたらいいのに。




そしたら、こんな中途半端な事
しなくて済むかも知れないのに......。




「それも言えないの？」


「....っ、」


「ほらね？振り回してるのはAちゃんじゃん」


「違う......っ」




思わず顔を上げると




そこには、苦しそうな表情の
ホソクくんがいた。




どうして.....そんな顔するの？




「そう思ってるならなんで付いて来るの？
なんで黙ってキスされてるの？」


「それは......っ、」


「俺、誰にでもしないって言ったよね？」




だからその、誰にでもしない意味は......？




「興味があるから知りたいのに......」


「それが......」


「......なに？」


「......それが、いや」




......もう、いいや。




「興味があるだけでキスしたりして、
振り回してるのはホソクくんでしょ......っ？」




どうなっても。




「......好きな人に、好きでもないくせに
抱かれたくないの.....っ！」




だってもう、胸が痛すぎて限界。




「え......俺の事......、」




拒絶の言葉は聞きたくない。




手の力が緩んだ隙に




思いっきり振り払って走り出す。





「Aちゃんっ！？」






......これで、終わりだ。





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