あ な た が ほ し い

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授業なんて、これっぽっちも頭に入らなかった。




今日は絶対ブラックな方じゃないのに




......人前であんな事して。




ホソクくん有名人なのに、噂でも立ったら......。




そんなの、私が耐えられない。




......それにしても、
やっぱりホソクくんがわからない。




呼び出したのだって、用があった訳じゃなく
会いたかったから、とか言うし




キス、だって......。




ドキドキしてるのは私だけなんだ、
って思うとやるせない。




6号館の学食に行くと、




テラスに並んだベンチにホソクくんを見つけた。




......やっぱり好き。




こればっかりは仕方ない。




「ホソクくん、待たせてごめんね....？」


「....あ、Aちゃん。お疲れ。笑」




この笑顔は爽やかモード。




ブラックじゃない、のに




「待ってる間、ずっとAちゃんの事
考えてた」


「....っ」




私の手を握って立ち上がると




ニヤっと笑って、私を覗き込むようにする。




やっぱり、ブラックモードだ。




「反応してよ....？」


「そんな事、言われても......っ、」


「......赤くなった。笑」


「......知らないっ」




そんな私を見てホソクくんは笑うと




そのまま手を繋いで学食に入ってく。




「......ホソクくん、手、っ」


「なんで？いいじゃん」


「だって誰かに見られたら....」


「今更だろ？もう誰かしら見てるって。笑」




心なしか、楽しそうに見えるのは気のせい？




「俺がこうしたいんだからいいんだよ」




......こうしたい、って。




ホソクくん、どうして......？




「あれ、ホソクじゃん？
こんなとこでめずらしくね？」


「おお、最近こっちも来るんだ」




ほら、友達に会っちゃったじゃん。




......でも、手は繋いだまま。




「俺、これからだから。またな？」


「....おう、またなんかあったら連絡するわ！」




友達は行っちゃったけど、




チラッと、私と、繋がれた手に視線が
動いてた。




「友達、いいの....？」


「いいよ、なんで？」


「私といて、変に思ったんじゃ....」


「別に、思わせとけばいいよ。
周りの目なんか関係ない」





繋いだ手を、ぎゅっと握ってまた歩き出す。





......どうしよう。






勘違いしちゃいそうだよ......。




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