あ な た が ほ し い

29 ページ29

.



あの日から数日......。




当然だけど、ホソクくんとは会ってない。




私から連絡はしてないし、




ホソクくんからも連絡はない。




......あれは、なんだったんだろう。




なかなか引かないかと思えば
あっさり離れて。




ついこの間初めて喋って




......一回だけそうなっちゃっただけなのに




私に構いすぎだと思うのは




勘違いじゃないはず。




ホソクくんの気持ちがわからなくて
振り回されてばっかりだけど




それでも




ホソクくんを好きな気持ちは止められない。




変に近づいちゃったせいで




毎日無駄にホソクくんの事ばっかり
考えちゃって




一日中胸がざわついてる。




......いっその事、気持ちを打ち明けて
ハッキリさせる......？




元々、想いが通じるとは思ってなかったから
フラれるのは覚悟の上だけど




でも、せっかく近付く事が出来たのに
今更離れたくない、なんて思ってる




ズルい自分がいるのも確かで。




だって、ホソクくんがどういうつもりなのか
わからないけど




私の事からかってるだけかもしれないけど




......欲しがってくれるから。




夢なら醒めないで欲しいけど




もう少しだけ、夢を見ていたい。




私に心がなくたって、傍にいたい。




......私ってバカだ。




これじゃあただの"都合のいい女"。




なのにそれでもいいなんて。




救いようのないバカだ。




ﾌﾞｰﾌﾞｯﾌﾞｰ......




「......ホソクくん」




そう思うなら出なければいいのに




やっぱり嬉しいと思っちゃう私。




「......はい」


『この間の噴水まで来れる？』


「......うん」


『じゃあ待ってるから』




それだけ言って切れる電話。




久しぶりに声を聞いただけで高鳴る胸。




.......好きなんだから仕方ない。





何を言われても、何をされても





好きなものは好き。





.......だけど、辛い。






振り向いて欲しいと思うのに
何もしない私は







やっぱりどうしようもないバカだ。




.

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す