あ な た が ほ し い

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「っ！」


「......捕まえた。笑」




とうとう、ホソクくんの腕の中に
収まってしまった。




「......離して」


「やだよ」




人通りの多いこの時間は




駅前だって言うのに
私達を気に留める人なんて誰もいない。




「......私、帰る」


「だめ」




腕ごと収まったから
ホソクくんの胸を押してみるけど




力強く回ってる腕に勝てるはずもなくて。




「......早く帰らないと怒られる」


「......誰に？」


「お母さん」


「子どもかよ。笑」


「嘘じゃないから......っ、」




そう、嘘は言ってない。




学校終わったら早く帰ってくるようにも
言われてる。




......私の行いが悪いのがいけないんだけど。




「で？早く寝なさいって？笑」




なのに、ホソクくんは信じてない。




「Aちゃん、実家暮らしなんだ？」


「......そう、だよ」


「最近、朝帰りとか午前様しちゃったから？」


「......そう」




確かに、年頃の娘とはいえ大人なんだから




今時そんなのおかしいと思うけど。




「........そっか」




ホソクくん......？




「それじゃあ......怒られたら可哀想だから、
やっぱり今日の所は諦める」


「え」


「日頃の行い良くして、
早く解除してもらって？」




腕の力が緩んだから
ホソクくんを見上げてみると




目が合ったホソクくんはニッコリ笑ってた。




「それ、俺のせいでもあるでしょ？」


「......うん、まあ、」


「Aちゃんと会えなくなっても困るから。
......今日はこれで我慢する」


「....っ」




ホソクくんの指先が私の顎を持ち上げて




優しく食まれる、私の唇......。




ちゅ、っと音立てて離れると




「......いいね、その顔。笑」




.......今度は意地悪く笑う。




「俺限定、って思っていい？」




鼻が付きそうな距離で囁くと




もう一度唇が重なって




一瞬だけ絡まった舌は、
私の唇を舐めて離れてく。




"......次は抱かせて"




耳元でそう囁いて




「じゃあね？笑」




するっと腕を離して、私に背中を向ける。




......なんなの？




その都度表情が変わって




どう対処していいのかわからない。





振り回されてるのは私の方。







.....だけど、離れられないんだ。




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