あ な た が ほ し い

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「俺、テオ、キミは？」


「......A」


「Aちゃんか。飲んでる？」


「あ、いえ......」


「え、もしかしてウーロン茶？」


「....はい」




今日は飲むのよそうと思ってウーロン茶にした。




「飲み会でそれダメでしょ！飲もう？」


「や、今日は....」


「せっかくだから飲もうよ！
何だったら飲める？」


「いえあの、」




メニューを手に隣に移動して来たテオくんは




なぜか私の肩に腕を回す。




「飲めるんでしょ？チューハイ？カクテル？」




人懐っこいだけだと思うけど




いきなり肩とか......。




「......じゃあ、カシスオレンジ、お酒少な」


「オッケー！カシスオレンジね！
おねーさーーん！」




テオくんは最後まで聞く事なく
お店のお姉さんを呼んで注文した。




早く離して欲しくて言っただけだし
飲まなきゃいいや、って思ったけど




......肝心のテオくんの腕はそのままで。




困ったな......どうしよう。




「Aちゃん学部は？サークル入ってないの？」


「えっと......」




あんまり答えたくないな、って思ってたら




「こんなとこにいたんだ？」




上から聞き覚えのある声が降ってきて




私の肩にあったテオくんの腕を退けると




反対側から違う腕が私の肩を抱いた。




「あれ、ホソクの知り合い？」


「そ。だから手ぇ出すなよ？」


「なんだぁ、ホソクの知り合いかぁ〜」




"ざんね〜ん"なんて言いながら




テオくんは元いた輪の中に戻って行った。




「......あの、ありが」


「なに絡まれてんだよ」


「え、いや、別に」


「アイツ完璧狙ってたけど？」


「え....？」


「......はぁ、」




ホソクくんは私の肩を抱いたまま
大きなため息を吐く。




「Aちゃん、わかってなさ過ぎ」


「え、」


「Aちゃんみたいなのが一人でいたら
危ないって言ってんの」


「え？」




どういう意味......？




「お、なんだぁ、ホソク。
いつの間にこんなとこにいんだよ。
女の子達探してたぞー？笑」


「ああ、うん。今行くわ。笑」




......いつもの爽やかホソクくんだ。




「一人で帰るなよ？」


「え......」




それだけ言って、ホソクくんはさっきの
男の子の後を追って行く。




「なんなの......」





ぬくもりが消えた肩はすーすーして






思わず自分で自分の肩を抱いた。




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