あ な た が ほ し い

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お母さんにめちゃくちゃ怒られた。




そりゃそうだ。




連絡も入れないで朝帰り。




怒られて当然だよね。




......あれから、




ホソクくんは駅まで送ってくれて




"どっかでなんか食べる？"




って言ってくれたけど




そんな気分じゃなくて断った。




別れ際、お世話になった事にお礼を言うと




"やっぱり真面目"




って笑われた。




そんなホソクくんだって、




"帰り方わかる？"




なんて、やっぱり優しいくせに。




......たぶんだけど、




明るくて優しいホソクくんも




ちょっと意地悪で怖いホソクくんも




どっちもホントのホソクくん。




......そんな気がするのはなんでだろう。




私にあそこまでしてくれた理由は
わからないけど




私が見たホソクくんは、全部本物だから。




それに......




"また会おう"




って、本気なのかな......。




ケータイに登録されたこの番号。




私から掛けない限り、
ホソクくんから連絡が来る事はない。




電話して、冗談だったのにとか言われたら
立ち直れないし。




ホソクくんと一晩過ごせた事は




思い出として胸にしまっておいたほうが
よさそうだ。




家に女の子を連れ込んだ事はないって
言ってたから




人気があってモテるわりに
遊んでるわけじゃなさそうだけど




あまりにいろんな事がありすぎて




すんなり信じる事が出来ない。




......この番号も、消しちゃおうかな。




......やっぱり、記念に取っておこう。




だって、ホソクくんが自ら
入力してくれたんだもん。




......初めて目が合って




初めて会話して




初めて彼の部屋に泊まって




初めて、キス......された。




また明日から接点がなくなっても




その事実だけで生きていけそう......




なんて、大げさか。





今日明日で頭の中を整理して







ホソクくんの事は片隅に追いやっちゃおう。





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