好きだって言っただろ？

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風が、冷たくなって来た。




......だけど、私の唇はあったかい。




さっきは冷たく感じたユンギさんの唇は




私の唇と触れた瞬間、あったかくなった。




私を包んでた腕はいつの間にか解かれて




掌が優しく頬を包む。




唇は、何度も何度も付いては離れ




その音は、打ち寄せる波に掻き消される。




......この世界に、二人だけみたい。




「俺の事......好き、って......言って？」




......合間に囁く。




「......好き、だろ？」




応えたい、けど。




「......A、」




唇塞がれてたら......言えないよ。






........ユンギさんが、好きって。






やっとわかった。




......この気持ちが、好き、っていう事。




私は、勇気を出して
ユンギさんの腰に腕を回した。




「っ......A？」




ユンギさんは、やっと唇を離して
驚いたように私を見つめると




「俺の身体に......初めて触れた。笑」




そう言って優しく笑う。




......そう、だっけ？




「......好きになった？」




......海って不思議。




人の心を素直にさせる。




「......好き」


「......A」




二人の間には、波の音だけ。




「好き......ユンギさんが、好き」




一度口にしたら、するする出て来る




......"好き"っていう言葉。




「俺も......好きだよ。Aが好き」




ユンギさんは、笑ってるのに
なんだか泣きそうで




それを隠すように、私をぎゅっと抱き締める。




「......よかった。A、ありがとな」






私も、ユンギさんの背中に腕を回すと








ユンギさんをぎゅうっと抱き締めた。




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