好きだって言っただろ？

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「ほら、どれにすんだよ」




言いながらちゃりちゃりと小銭を投入して行く。




「......いえ、自分で、」


「いいから」




そう言われて思い出した。




「あの、ユンギさん、昨日のお代......」


「昨日......？ああ、気にすんな」


「そういう訳には、」


「じゃあ次奢って」


「え」




ブラックコーヒーのボタンが押される。




「お前が早くしねぇからだろ」




......なにも言ってないけど。




「どれにすんの？」




ユンギさんは引かないな、と思った私は




「......これ、です」




仕方なく、カフェオレを指差した。




「ん、」




取り出し口からコーヒーを出すと、
またちゃりちゃりと小銭を投入して
カフェオレのボタンを押すユンギさん。




「......考えてみた？」


「え」


「一晩の間に、俺の事」




......なんで、今そんな事。




「いつでも俺の事考えて欲しいからさ」




私の心を読んだみたいにそう言った。




「ほれ」


「あ、ありがとうございます」




カフェオレを手渡される。




"座るか"って言うユンギさんに付いて
休憩室のテーブル席に座る。




「......で？考えてみた？」




コーヒーを啜りながら私を見つめる。




「......そんなにすぐには、考えられません」




ユンギさんの眼差しに気まずくなった私は
ついそんな事を口走ってた。




あんなにぐるぐる考えちゃってたのに。




「手強いなぁ、お前。笑」




......だって。




ユンギさんが普通の人だったら
普通に考えられたのに。




見た目のチャラさと噂が邪魔をして
素直になれない。




「ま、仕方ねぇか。
噂信じてたんだもんな？笑」




......噂の事は、忘れた方がいいのかな。




「さっきも言ったけど、先に帰んじゃねぇぞ？」





ユンギさんはそれだけ言うと






"お先"って、戻って行った。





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