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あの日、
その場に立ち会ったというのに、その時は涙の一つさえも出なかった。
かつて藤本が使っていたこの部屋はもう跡形もなく
綺麗に片付けられていた。
本当にここにあんたはいたの?
ってもういない藤本に尋ねる。
「藤本は…あの時俺ボク言ったことを聞いてどう思った?
つくづく思うよ、ボクってとんだ大馬鹿ものだなって。もらったお弁当もろくに食べなかったよね。
食べておけばよかった、って今になって思うよ。
それにさ、自分のプライドにしがみ付いて結局
気持ち伝えられないまま藤本は死んじゃった。
あの世とかそんなの信じるガラじゃないケドさ
ボクのこと…バカだなって、いつものボクみたいに
嘲笑っていいよ。
それでさ、戻っきてよ。
だってずるいよ。
ずる、い……デショ……っこんな…」
藤本の両親から渡されたソレに描かれてあったのは以前あいつが
描いたバレーをしてるらしいボクのヘタクソな絵。
そのあとに付け足されたと思われるヘタクソな字。
ほとんど動かなくなってしまった手で書かれた字。
たった2文字。
「自分だけ、言っておいて…ボクには伝えさせてくれないとか…」
残されて、溜まっていくボクの“好き”はどうなんの。
涙で視界が滲むなか、
自分の気持ちをあんたに伝えられなかった後悔のなか
たしかに、たしかにあんたの…Aのいつもの笑い声が聞こえたんだ。
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きらら(プロフ) - 自然と涙が出てきました (2016年11月30日 23時) (レス) id: 29a8a5daee (このIDを非表示/違反報告)
東堂莉愛(プロフ) - 月島の一人称僕ですよ (2016年10月22日 15時) (レス) id: 28f8595726 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 泣きました。本当に感動しました。 (2016年10月18日 16時) (レス) id: e67deb9f68 (このIDを非表示/違反報告)
月島蛍 - コメントよろしく(君の事が忘れられない) (2016年8月17日 13時) (レス) id: e6c761f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
月島蛍 - 僕がもっと早く君の病気に気づいていたら君の作ったクッキーとか弁当とか残りの時間も楽しく過ごせていたかな君に優しくできていたかなでも君に会ってこのことを直接言いたかった「好き」 (2016年8月17日 13時) (レス) id: e6c761f5e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫音 | 作成日時:2016年7月28日 23時