特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ10)

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仲間だからページ10

ヒロトside

Aが野坂が好きなことなんてかなり前から知ってた。あんな分かりやすいのに気づかないヤツらの方がおかしいんじゃねえのって思ってた。

けどそれは俺だけだ。俺がAのことばっか見てるから気づいただけで、普通は気づかないもんだった。それだけ気づけばAを見てる。

結果なんてどうでもよかったと思ってる。アイツが好きな人なんて知ってた、けどあえて言った、そんだけだ。

これでいい、後悔なんてねえ、なのに…。

この空気は苦手だ。何も言わないでジッとしてるだけの空気。

だからなのか、無意識でAを抱きしめた。

『…バレたら怒られるじゃん』

「そんなのどうでもいいだろ。したかったからしてるだけだ」

やっぱどっかでこの関係が嫌だと思ってんのかもしんねえ。

Aの好きは変わってる。変だ。誰にでも連発するようなヤツ。だからそれが気に入らねえ。ほんとの好きとズレた好きがごっちゃになってる。

そんな微妙な関係は嫌いだ。Aにはほんとの好きとズレた好きを別にしてもらいてえ。

俺だけ変な好きにされたってAを諦められねえだけ。なら仲間として好きになってもらう方が何よりもマシだ。

けど俺はAにしてることで俺の理想と反対になるようなことをしてる。

『そんなことしたら…分かんなくなるから…。野坂とヒロトの好きな気持ち変になるから…』

「俺のこと嫌いになったっていいぜ？中途半端にそんなこと言ったって野坂が怒るだけだ。ハッキリさせろよ、ほんとの気持ちくらい」

『無理。だってヒロトは…覚えてなくたって、私にとっては大事な仲間だ。ヒロトと、タツヤと、二人でいた時なんてほんとに少しだったかもだけど、大事なことに変わりはない』

『なのに、どうやって嫌いになるわけ？嫌いになんてなれるわけないから。イナズマジャパンのみんなも、ヒロトも野坂も、全員好き。ヒロトのこと考えて野坂が怒ることがあっても、嫌いにならないって絶対言える！』

そのAの言葉が、どっかで迷ってたAへの気持ちを変えた。

嫌いにならなくたっていいって、分かった。俺は別に好きでいたっていい。