特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ43)

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大切な人ページ43

｢さぁ、今すぐ警察に通報させてもらおうか｣

Aの両親が部屋に来た。本当は通報なんてしたくないけど、仕方ないんだ。

｢…好きにしてくれ｣

智さんと夏月さんは反省したのだろうか、反論はしてこない。

｢悠馬僕が言うのはおかしいかもしれないけど、Aが目を覚ましてからの方がいいんじゃない？Aに決めてもらおう、今後のこと｣

｢そうだね。
恐らく、数時間もすれば目を覚ますよ｣

3時間がたった。まだ目を覚まさないA。

｢せめて、医者に連れていった方がいいんじゃ…｣

レオが言いかけた時、Aの目がゆっくりと開いた。

｢A！｣

『野坂…？帰ったんじゃなかったのか…？』

｢良かった、混乱が戻ってる。
ごめん、A…僕が君に嘘をついたんだ。そしてひどいこともした。
本当にごめんなさい｣

『別に、許すくらいなら…』

｢それでA、2人のことなんだけど、どうする？｣

Aは智さんと夏月さんを見つめる。

『こんなことして、何がしたかったんだよ』

｢Aはきっともう私たちの元には戻って来ない、そう思ったんだ…だから｣

『バカだなぁ』

Aはベッドから降りて立ち上がる。

『私は父さんと母さんが戻って来いって言ったらいつだって戻る。こんなことして戻って来いなんて言った方がよっぽと戻んねえ』

『…でも、今回だけは許してやる』

智さんと夏月さんは涙を流した。

Aside

｢今はAのやりたいことをやればいい。私たちはいつでも待っている｣

『はいはい』

｢じゃあな｣

『うん』

飛行機に乗る所まで父さんと母さん、レオはついてきた。

｢あんな反応してたけど、本当はついてきたこと、嬉しかったんじゃない？｣

機内に来て話す。

『…当たり前』

何されたって、私の家族だ。レオだって、無理矢理やらされてただけだし。

｢AはAだね｣

『意味分かんない』

｢野坂さんも宮谷さんも疲れてるんじゃないですか？今は寝た方が良いですよ｣

野坂も、西蔭も、大切な人だ。

『ちょっと待って』

窓の外を見ると父さんと母さんが見えた。

飛行機が飛び立った時も、あの2人はずっと手を振ってた。