特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ39)

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決意ページ39

今度は僕と灰崎くんのスマホにアラーム音が鳴った。監督からだ。

「…時間切れだ。宮谷は諦めるしかねえ」

灰崎くんは歩き出すけど、僕は止まったまま。

「おい？」

灰崎くんが何度も行くぞ、と言う。けど動かない。

「まさかお前…」

監督から電話が来た。

「野坂くん、もうバスが出発します。いいんですか？このままだとロシアに残ることになりますよ？」

「…いいんです。僕はAを連れて帰るまでロシアに残りますから」

決めていたんだ、初めから。Aが見つからなかったらロシアに残るって、見つかるまで残るって。

「そうですか…ですが、西蔭くんも残るみたいですよ」

「野坂さん…俺はあなたについていきます」

監督と代わり、西蔭が出る。

「いいの？いつ帰れるか分からないんだよ」

「それでも俺はいいんです。宮谷さんを探すのを手伝わせてください」

「ありがとう、西蔭」

そこで電話を切った。

僕は絶対Aを見つけ出す。何日かかろうと、諦めない。

西蔭と合流し、どうやって探すか考える。

「宮谷さんの両親はオリオン財団にいるんですよね？オリオン財団に行って情報をもらえば…」

「今オリオン財団は荒れている。この間のことがあったから、話は聞いてくれないと思うよ」

「では、名前から居場所を特定するのはどうですか？聞き込みになりますが」

「それしかないだろうね…時間はかかるけど、仕方ない。
滞在場所や食料などの確保も必要だ。残金はどれくらいある？それから…」

数時間後、オリオン財団がある近くに着いた。Aの両親はオリオン財団で働いているんだ、もしかしたら家が分かるかもしれない。

そう思い聞き込みを始めて1時間、1つだけ手がかりになるような情報がでてきた。

聞いた人は偶然にもオリオン財団で働いていた。それもAの両親とは何度か一緒に仕事をしたらしい。

ここから車で30分ほどの町に住んでいると分かった。

「西蔭、今からその町に行って泊まろう。明日から捜索だ」