特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ4)

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覚悟を持ってページ4

「本当にいいんですか？この試合に出たら、人生で(・・・)最後の試合になりますよ？」

「人生…？」

「歩くのもやっとな人がサッカーなんてやったら、壊れてしまいます」

『そ、れは…』

迷った。サッカーが一生できなくなるなんて、それは嫌。けど、どうしても出たかった。

「そもそもこの試合にこだわるのはどうしてなの？」

野坂が聞いてきた。確かにこだわる必要はない。

『だって、変わらなきゃって思ったのがこの試合だから。
稲森が諦めずに走ってて、私も諦めてたらダメだって思った』

「この試合じゃなきゃダメってことにはならない。
違う？」

『だけど、だけど！ブラジルは全員オリオンで、今どうなのか知らないけど私たちが勝てるようなヤツらじゃない。この、本気で本気の試合だからこそ…』

「はーいそこまで！時間がなくなっちゃうので後はこちらで決めますから」

『分かりました…』

やっぱ…ダメかもしんない。この試合に出たい理由、まとまんなかったし。

一生できないくらいなら待ってずっとサッカーができる方がいい。

けど、それだと今までの思いは意味なくなる。時間を削って言ったのに。

分かんない。私はどうすればいいのか。

「Aさーん来てください」

監督は会話が聞こえないような位置に移動した。

「ほんっとーに心の底からこの試合に出たいですか？命をかける覚悟を持つような、そのくらい出たいですか？」

『…はい。決めたことは絶対諦めたらダメだって、思いました。それに…
力になれるなら、イナズマジャパンが優勝できるなら、私がいなくなってもいいって思えるので』

「困りましたねえ…そこまで言われると…」

やっぱ無理なのか…？

「ん～～分かりました！とっておきのことをしてあげましょう！」

『とっておき？』

「15分だけ何も気にせずに思いっきりプレイできるものがあるんですよ！
前に稲森くんに使ったことがあるものの強化版！」

『ありがとうございます…！』

「ただし、効果が切れると意識を失うほど、力を使ってしまいます。その後は2日しっーかり休めば治りますがね。どうします？」

2日でほんとに治るの？とはなるけど、やれるなら…

『私、やります。試合に出ます。タイミングはいつでもいいので』

「覚悟してくださいね」

イナズマジャパンのためなら。生きる価値なんてない私に希望をくれたこのチームのためならなんだって…。