特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ28)

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届く思いページ28

『光！』

光に目を向け、油断した。試合中なのによそ見をした。

フロイは私にもボールを飛ばした。

『くっ…！』

ギリギリボールを受けてダメージはなかったけど、当たったら危険だった。

『注意して！ボールは避けるか受けるんだ！』

注意喚起はした。けどロシア代表のうってくるボールはさっきより速くてどうしようもなかった。

フロイはマリクの技、ダブルヘッド・イーグルを使って、円堂さんのダイヤモンドハンドを破る。

1ー0、ロシアが先制。まだ時間はあるのに、焦り始めてしまった。

試合が再開しても、ロシアの攻撃は止まらない。光を中心に、痛めつけることを目的のようにやっている。

「フロイは苦しんでいます！本物のサッカーがしたい、心ではそう思っているのに、体が言うことを聞かないんだと思います…」

『オリオンに操られてるんだ、何でかは分からないけど』

アツヤがイレブンバンドか、って言って野坂が推測を始めた。けど光は否定した。

「もしかして…
うわーーーー！！」

フロイに向かって大声を上げる光。何してんだ…？

「音です！ロシアチームのイレブンバンドから、なんらかの音が出ているのかもしれません」

『超音波とか？操るなら…』

「きっとそうです！」

「よし、俺に任せろ！
うわーーーーー…ああぁーーーッゲボゲボ…」

剛陣さんができるだけ長く叫ぼうと努力してるけど、さすがに限界があるな…。

結局どうすることもできず、守るだけになる。

何度もシュートをうたれ、その度に円堂さんが防ぐ、その繰り返し。

私がディフェンスに入ろうとしても、円堂さんは「来るな！」って1人で対応する。

そのうち顔にボールが当たって立ち上がれなくなった。

次来たらゴールされる、そう思って今度は、とディフェンスに入ろうとした、その時。

円堂さんは腕を震わせながら立ち上がる。

「この痛みは…アイツらの心の叫びだ…絶対、救ってやるからな！
言葉にならない気持ちを受け止めるのが、仲間ってもんだ！」

もう立ち上がるのもキツイほどなはずなのに、諦めない、それが円堂守。

「みんなー！！サッカーやろうぜー！！」

円堂さんの思いはロシア代表に届いていく。そして、ついにフロイは元に戻った。

「今度こそ、本物のサッカーをしよう！」