特別な私の皇帝5【野坂悠馬】 (ページ12)

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もう一度ページ12

夜10時、寝る時間。

さっき野坂が言ったことがほんとに嬉しかった。

好きだって言ってくれるだけで安心できるし、いなくなったりしないって、絶対そうとは限らないことを言ってくれたって嬉しい。

野坂にはほんとに助けてもらってる。野坂には何したって感謝しきれないって分かる。

『私もなんかできればなあ』

無理なことを言ってベッドに入った。

朝起きていつも通りに練習に行こうとした。

「宮谷、もう大丈夫なのか？練習は休んだ方がいいんじゃ…」

『大丈夫ですって、ほんとに治ったし。早く練習したいなくらい』

風丸さんが心配して声をかけた。そういう気遣いがもっと頑張りたいって思わせてるのかもしんない。仲間のためにしたいから。

「とか言いながら、スパイク忘れてるぞ？」

『え？あー…』

「早く練習したいのは分かるが、確認はしないとな。今日は次の試合の相手も分かるしな。
先いってるぞ」

『はーい…』

スパイク忘れるとか何しに行くんだって感じだな。

「A」

部屋の前まで行ったら野坂がいた。

『なんでいんの？練習始まるよ』

「来て」

何があるのか言わずに部屋に入った。

『…！』

「話、聞いたら？」

いたのは家族(あいつら)だった。

見るだけで泣きそう。こんなヤツらとなんか絶対分かり合えない。何言おうと私は…

「前は本当にすまなかった。どうしても分かってほしくて、つい自分のことばかりを…。
けど、今日はお前のことも聞く。お前は…どう思ってるんだ？」

『嫌い』

すぐ出てくるのなんてこれしかなかった。絶対認めたくないって思ったら、家族(こいつら)をずっと悪者扱いするしかない。

『お前らが捨てなければ私はこんな風になんなかった。ずっと苦しんでこんな負の感情ばっかじゃなかった！全部お前らのせいだって…』

「A」

これ以上言い過ぎないように止めに入った野坂。そんなことしなくたっていいのに。私を最低なヤツだと思えば、諦めるかもなのに…。

「Aは今までずっと1人で、笑顔もほとんどありませんでした。捨てられてなければそうはならなかった、そう言いたいんだと思います」

代わりに伝えてくれる野坂。これだけで十分だ。