特別編 エイプリルフール ページ48
『野坂の誕生日は明日か…』
今日は4月1日で、明日が野坂の誕生日。プレゼント買うお金なんてないし、どうしよっかな…。
「A、突然だけど話があるんだ」
悩んでたら野坂が来た。またどうでもいいことかもしれない。
私の部屋に移動して、話を聞く。今野坂の誕生日のこと考えてるから早めに終わらせてほしいんだけどなー…。
「ほんとにごめん、
別れてほしいんだ」
『はぁ…！？』
なんにもわかんなくなる。いつもなら絶対言わないことを…。誕生日祝ってほしくない？
「今思うと、Aには僕なんてあってないんだ。もっといい人がいる…」
単純な理由だった。そんなんで、諦める？
『何言ってんの？野坂だからいいんじゃん、野坂以外じゃ意味ないの！なんで誕生日の前なのに…』
『もっといい人がいる？そんなのいるわけないでしょ！てかそういうこと言うほど弱くないでしょ野坂は！
野坂が好きだから今までなんでも許してあげたのに、全部捨てるの？』
とにかくありえなかった。世間のこと知らない私でもこれくらいにはちゃんと言える。
「…ごめんね、A」
謝ってるのに笑い始めた。野坂がとうとうおかしくなった？
「これは嘘なんだよ」
『はぁ！？』
なに、嘘？意味わかんない。今つく理由ある？
『なんで嘘なんて言うの！』
「あれ、知らないんだ。今日はエイプリルフールっていう嘘をついてもいい日なんだよ」
『知らない！そんな日絶対いらない！
野坂もひどいって！誕生日前なのに！』
エイプリルフールとか聞いた事ないし。
「ほんとにごめんね。こんなに真に受けるとは思わなかったから。
でも、ありがとう。そんなに好きでいてくれて」
またそういうこと言う…。
『の、野坂がそういうこと言うのが悪い！』
「エイプリルフールくらい嘘はつきたいよ」
『つくな！』
もう次からは信じない…。
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亜風炉照美
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