新たなトレーニング ページ45
「フィジカルトレーナー？」
「体の構造を踏まえたトレーニングメニューを組み立て、皆さんをサポートしてくれるんですよ。リハビリ中の豪炎寺くんの足も、きちんとケアしてくれますからね」
ちゃんとしたトレーニングができるのは安心。
「大丈夫、できることはしっかりやっていくから」
監督の説明で、これからの特訓も析谷さんがやってくれるそう。いつもの変なことはしなくて済む。
「監督の特訓みたいに、甘くないから」
それからはまともな特訓が始まった。
腹筋したり走ったり。結構ハード。
「ここからはデータ分析による、個人別メニューだね」
「明日人、悠馬、鉄之助」
「僕はフィジカルトレーナー兼、データ分析担当だからね。
明王」
「…俺か」
析谷さんはみんな名前呼びらしい。不動さんとか名字呼びしかされてないから自分の名前忘れてるし。
「ロシアに来たからピロシキを大量に作る特訓とか、大量のマトリョーシカをドリブルで抜く特訓とか、期待してたでしょー」
「期待はしてねえよ」
なんでロシアに来ても変な特訓しなきゃきけないの。これでほんと良かった。
「ちょっといいか？」
豪炎寺さんが稲森を呼んだ。
『あの豪炎寺さん？私いります？』
なぜか私まで呼ばれた。呼ばれたのは稲森、灰崎、野坂、私。
「あぁ。宮谷は少し待っててくれ」
「析谷さんのトレーニングとは別に、3人にはやってもらいたいことがある。
俺の足が本調子になるまでは、まだ時間がかかる。析谷さんの分析でも、それに間違いはない。
お前たちに受け継いでほしいんだ。俺のラストリゾートを」
『ラストリゾートを？』
ラストリゾートは豪炎寺さんが韓国戦で初めて使った、豪炎寺さんのサッカーにおける回答とかいう技。あれはめっちゃ難しいらしい。
「あれを、俺たちで…」
「本来、ラストリゾートは両方が利き足である者だからこそ可能な技。選手が利き足を変えるには、少なくとも1年はかかる」
「なら無理だろ」
『豪炎寺さんだからできる技ってことか』
「そうでもない。だからお前たちを呼んだ」
「1人では超えられない壁も、力を合わせれば突破する方法が見えてくる」
ラストリゾートはあの3人でやることに決定した。けど。
『それで豪炎寺さん、私は何を？』
「宮谷には、宮谷にしかできないことをやってもらう」
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あずきいろ
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世界編メンバー
亜風炉照美
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