カザニの気温 ページ41
「では、カザー二について、ごせーつめいしまーすよ。
カザー二は、モスクーワから、東に820kmのところにある、ロシーア連邦タタールスタン共和国の、首都でーす」
スマホガン見しながら説明。ガイドってこういうものなの？
「いいや、ロシアはまだまだこんなもんじゃねえ」
「剛陣、先輩！？」
「これから冷え込んでくる。こんくらい着込まねえとヤべーらしいぞ！」
剛陣さんは雪山に行く時に着るような服を着て、マスクまでしてる。
「ロシアは、濡れた洗濯物を外に干して凍らせて乾かすってくらい、さみーみたいだからな！」
「またまた〜そんな乾かし方ないですって！」
坂野上に同感。凍ったら乾く？
「それ、本当みたいですよ。」
「ガイドブックの豆知識に書いてありました。凍らせた後、氷を払って落とすって」
「だろー！」
そんなに寒いの、ロシアって？でも、確かしおりに…。
「そうそーう。ちゃんと、着込まないとでーす」
「スコーリオさんまで！？」
「これが正解！お前ら、マジで、凍え死ぬぞ？」
ほんとかなー…。
「さぁ、ここが、カザー二1番の観光名所、カザー二クレームリーンでーす！」
「おぉ〜！」 「クレームリーン！」
稲森と剛陣さんがはしゃいでる。けどさ、やっぱり…。
「全然寒くないですよ、剛陣さん」
タツヤが通り際に言った。ほんとにそう。寒くないし、快適。
「ほんとだ、むしろあったかいですね！」
「カザニは、ロシアの中でも比較的過ごしやすい街。1番過ごしやすい6月から8月でも、気温は20度前後だそうです」
「代表のしおりにも書いてあったわよ？」
夏未さんの言う通り。だからさっき剛陣さんが間違ってると思った。
「えっ、じゃあ、アイツは！？」
「行きまーすよ〜！」
「アイツだけ脱ぎやがった！」
『ちゃんと読みましょうよ。それじゃ逆に暑いですから』
「…あつー！！！」
剛陣さんの声が響き渡った。自業自得っていうやつ。まずロシアの環境を知らなかったし、しおりは読んでないから私も剛陣さんのこと言えないけど。
カザニが過ごしやすくて良かった。
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亜風炉照美
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