特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ8)

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入部ページ8

三日目。

今日入部するかしないか決めなきゃいけない。だけど、心の底では決まっているようだった。

「今日はシュート練習をしてもらうよ」

三日目だからシュートって訳か。

『足を狙うわけじゃ、ねぇよな？』

「今日はそんなことはしないよ。Aちゃんには普通に撃ってもらう」

「お願いします」

西蔭がキーパーで私はシュートを撃つ。

『キーパーが止めるなんて簡単なんだろうな。私はまだ初心者だし』

「いえ、宮谷さんの様子しだいです」

何が言いたいんだか。

『とにかく、行くぞ！』

シュートするときの力…。力加減が意外と難しいのが分かった。

ゴール。

西蔭はわざと止めなかったように見える。

『何で止めなかった？お前には簡単なことだろ』

「先程言ったことのままです。“宮谷さんの様子しだいです”と」

『なんだよその様子しだいって』

「まだ宮谷さんは強いシュートを撃てると思ったので、止めなかったんです」

『なら何度でも撃ってやる』

けど、何度撃っても西蔭は止めようとしなかった。

『はぁ、はぁ…』

「そろそろ時間です。野坂さんのところへ行ってください」

結局、西蔭が止めようとせずにタイムアップ。もう決めなきゃなんねぇんだな…。

「さて、答えは決まったの？」

『あぁ…。
もう決めたことだ。これからの変更はしない』

「僕には答えが分かってるけどね」

『…入るよ、サッカー部』

「Aちゃんならそう言うと思ったよ」

本当は、答えはあの日から決まってたのかもな。野坂にサッカー部に入るか聞かれたときから。

『でも、私はフットボールフロンティアに出れねぇんだ。だから、お前たちで頑張れよ』

王帝月ノ宮はフットボールフロンティアとかいう大会に出るって聞いた。

「Aちゃんも出れるよ」

は？

「イレブンライセンスならもうあるからね。イレブンライセンスは、選手が持つカードだよ」

『おい、いつ作った？もうフットボールフロンティアは始まってんだぞ？』

「フットボールフロンティアが始まる前に作ったんだ」

『はぁ！？私は作らせてないし、何勝手に作ってんだ！？』

「Aちゃんは入る予定だったからね。写真だって、一番良いものを選んだし」

『くっ～、意味分かんね！許可なしに作るんじゃねぇよ！しかもちゃっかりFWだし！』

野坂にはやっぱかなわないって気づいたのは遅かった。