特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ7)

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アレスの天秤ページ7

「お疲れ様、Aちゃん」

部活が終わって野坂が話しかけてきた。

『野坂…』

『はやく教えろよ！』

野坂を止めて問う。

「分かった。Aちゃんがそれでサッカー部に入ってくれるなら」

『入るかは明日だ。はやくしろ』

「じゃあ…、まずはね」

『おい、何でいちいち抱かれなきゃいけねぇんだよ』

後ろから抱かれる。

「これくらいさせてよ」

言葉では嫌になる。こんなことされて普通嬉しくなんかなるわけがねぇ。なのに、野坂にされると、抵抗できなくなるんだよ…。

『お前だけだからな』

「ふふっ。やっぱりAちゃんがいいよ」

力をさらに込める。

「僕はアレスの天秤を受けたんだ。アレスの天秤は、幼少期から受ける。個々の能力を最大限に引き出してくれるんだよ」

アレスの天秤…？

「アレスの天秤は、子供を育てる。施設に入ってね。そこの子供は、みんな親に捨てられた子供。親のいない辛さを教え込まれて、この社会を変えようとする」

アレスの天秤を受ければ、私は野坂と社会を変えようとしたかもしれないって、思った。

「アレスの天秤で子供を育て、この社会を変えれるんだ。だから、僕はこの手で世界を変える」

『だいたいは分かった。だけど、サッカー部に何の関係がある？』

「王帝月ノ宮サッカー部のスポンサーは、アレスの天秤の会社、『月光エレクトロニクス』。そして、僕たち王帝月ノ宮サッカー部はアレスの天秤を受けた子供。だから、フットボールフロンティアで優勝すれば、アレスの天秤は証明されるんだ」

『野坂は優しいんだな…』

思わず口に出した。

『これからの世界に同じ子供がいなくなってほしいんだろ？』

「そうだね」

『教えてくれて、ありがとな…』

「ふふっ、君が興味を持ってくれれば、僕はそれでいいよ」

“家族”のいない辛さ、アレスの天秤ならなくせる…。

協力するかは、明日だ…。まだ考えるな…。