特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ49)

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デート2 ページ49

カフェを出た後、私が怒ったら野坂が何かする、とか言い出した。

『何すんだよ？』

「もちろん、」

言葉を切ってある方向を見た。そこは…

「カフェだよ」

『なんでまた…』

どこがもちろん、だ…。さっき行っただろ。

「好きなの頼んでいいから」

それも同じだし。これで同じことしたら野坂ともう付き合わねぇから。

野坂はまたスイカ。今度はスイカの“グラニータ”っていうシャリシャリしたシャーベットっぽい、イタリアかどっかの食べ物。と、かき氷(もちろんスイカ)。冷たいのばっかだな。

私はガトーショコラとさっきと同じくらい甘いコーヒー。

この店は個室じゃないし、客がめっちゃいるから大丈夫そうだが、一応警戒はしとく。

「ここのカフェはすごく人気なんだよ。Aちゃんチョコレート菓子とコーヒー好きだし、ぴったりだなって」

『ちょ、待て、なんで知ってんだよ！？』

思わずガトーショコラを食べる手を止める。

確かにチョコレート菓子もコーヒーも好き。コーヒーは甘いのに限るけど。

「僕はだいたいのことは知ってるよ」

『どこでそんな情報手に入れてんだ！』

叫びはできないから静かに聞く。

「さぁ、どうしてだろうね？」

めっちゃ笑顔。

私が聞こうとするとグラニータを食べさせた。

『…美味しい』

野坂は何事もなかったように嬉しそうにしてる。スイカってシャーベットになるんだな…。

野坂がガトーショコラ食べたいとか言うから食べさせたらコーヒーもとか言ってきた。

無理してるとしか思えなかったけど。あいつは絶対ブラックが好きだからな。

「今日どうだった？」

『別に…良かった』

金全部払ってもらったし、良くないなんて言えるわけねぇよな。いや、良くないとか思ってねぇけど。

「また行きたい」

立ち止まって見てくる野坂が、すごく可愛く見えてしょうがなかった。