特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ43)

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太陽“稲森”の力ページ43

野坂が入ってすぐ、稲森と小僧丸が木戸川清修が使ってるらしい“爆熱ストーム”を使った。

でも西蔭が必殺技を使ったとき、野坂がシュートじゃないことに気がつき、万作の予想外シュートで点を失った。

西蔭が決められるなんて相当なこと。雷門は強い…。

必殺技を使いまくって、前線に小僧丸が上がった。

“火だるまバクネツ弾”でまた点を失った。

王帝月ノ宮が同点になるなんてな…。やっぱりこの試合は勝ちたくなる。

奥野からパスを受け、一気に前線に上がる。前からは剛陣鉄之助。

『天星突撃(てんせいとつげき)』

剛陣に無数の星々が降り、ひるませた。

そして野坂にパス。

新必殺技の“キングスランス”がのりかのマーメイドヴェールを破り、1点追い越した。

『野坂！』

点が入り、声をかけようとしたとき、苦しみだした。

『無理すんなって…』

野坂が答える直前、ホイッスルが鳴り、前半が終わった。

「野坂、灰崎、そんなサッカー楽しい？」

いつもの太陽みたいな笑顔を捨てた稲森が、真剣そうに立っていた。

稲森はあの反則に近いプレイのことを言ってんだな。

何度もぶつかり、痛めつけてたあのプレイ。稲森だけじゃない、私もダメなこととは分かってた。

「宮谷さん、も思うでしょ？」

全部話し終わって野坂と灰崎がムスッとして戻ったときに突然稲森が話しかけた。

『私は野坂についてってる。
けど、稲森と同じ。あれはサッカーな気はしねぇし、やりたくない。
あのプレイは…応援できねぇな』

初めて、って言っていいくらい珍しく、私は否定を出した。

「宮谷さんはすげえプレイをするよね。
俺が宮谷さんのプレイを見たのは初めてだけど、初心者って言ってたのに上手だし、必殺技もかっこよかった」

『何が言いたい？』

「宮谷さんは野坂にとことんついてくわけじゃないんだ、って分かったんだ。すげえプレイができるのは、野坂や灰崎だけじゃない。宮谷さんも。
今宮谷さんとプレイできてて、本当に嬉しいんだ」

全然理解できないし。でも…

『とにかく、後半はちゃんとしたサッカーでぶつかりたいんだろ？
私はあんな痛めつけるプレイする気はないから安心しろ』

稲森の気持ちだけは伝わった。純粋にサッカーがしたい気持ちが。

「うんっ、後半は頑張ろう、A！」

名前呼びになってるけど、まあいい。

太陽に言われたんだ。後半は私らしいサッカーをしないとな。