特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ42)

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勝ってみたい試合ページ42

新しいタクティクス“ローグプレス”を使ったが、動きが読まれたように止められた。

その後の野坂は、灰崎と危険なプレイばっかりしてた。

タックルだったりボール当てたり。野坂だからおおめに見てる。でもさすがにあれはダメだ…。

そして野坂は倒れた。灰崎とぶつかった時に脳腫瘍の症状が出たんだ…。

私はすぐ行こうとする。

「お前は交代だ。集中しろ」

嵐が急に交代しやがった。ちょっとくらい考えろよ、この監督！

『…分かったよ』

渋々草加と交代してFWに入る。

担架で運ばれた野坂の方を見ると、杏奈が心配してわざわざ来てた。

あいつがいるなら大丈夫だな。

私は開始直後ボールを持って、ゴールに走る。完成した技で決めてやる！

『月下光(げっかこう)』

月に照らされた光が、ボールを加速させる。

そして一歩も動けなかったのりかの横を通って、シュートが決まった。

喜びなんてほぼ感じない。誰も褒めることさえしねぇんだから。

ただ決まった、としか感じなかった。

私が点を入れた直後、野坂がフィールドに戻ってきた。

『交代した。
大丈夫か？』

「…あぁ、もう大丈夫だ。
そういえば1点追加されてるけど、Aちゃんが入れたの？」

『ま、まぁ…』

なんで分かんの！？さっきまで苦しんでたってのに。

「あの技は西蔭でも止められないしね。決められるのなんてAちゃんしかいないよ」

最後に一言いって戻ってった。

今からは野坂ともプレイできる。この試合はなんだか勝ってみたい、なんて思える試合だ。