特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ39)

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雷門でページ39

時間一気に飛びます！(すみません…)

『あいつらなんで今さら…』

私は怒ってた。利根川東泉対雷門の試合のとき、王帝月ノ宮イレブンが来て、アレスの天秤を抜けたいとか言い出したから。(雷門は勝った。)

竹見が抜けたいって言ってたことに反対そうに見てたのに、自分たちのサッカーはいいことなのか、とか言ってきた。

私はアレスの天秤を受けちゃいない。だからどんなものか、知ったようで知らない。けど、野坂の言った通りにアレスの天秤を信じる…。

「Aちゃん、彼らには彼らなりの考えがあるんだよ。
それと…、もし雷門に勝ったら、全員がアレスの天秤を抜ける」

『どういうことだよ！？野坂は世界を変えるんだろ？』

驚きを隠せない…。なんで…。

「雷門との試合が終わったら全部話すよ」

このやりとりが繰り広げられる何日か前。私は野坂と雷門に来ていた。

野坂は宣戦布告と、データを渡しに雷門に行った。

「えっと…、そっちの子は？」

稲森が興味の目で私を見た。

『宮谷A。“高嶺の崇高プレイヤー”だよ。私はアレスの天秤を受けてないけど、入れてもらった』

「初心者ながらも上級者並の実力を持つ、あの宮谷A…。
俺たちが星章戦を見たときは出てなかったな」

キャップを被った万作雄一郎が言う。

『別に実力はない。“高嶺の崇高プレイヤー”なんて名前だけ。初心者と変わんねぇよ』

どこの情報だか。私に実力なんてない。チームでは浮いた存在だし。

「王帝月ノ宮の2トップが何のようだ？」

「僕たち王帝月ノ宮のデータを渡したいんだ」

雷門の奥入祐に渡した。

「じゃあこれで」

『私ってあんな上の扱いされてたのかよ…』

雷門の廊下を歩いてる。

「２つ名が原因のひとつかな。でも、上手になってきてるよ」

野坂はそう言って私の頭をポンポンした。

『やっ、やめろ…！』

「恥ずかしいの？こんなことで困るなんて」

『ここ雷門なんだから考えろよ…』

恥ずかしいのもある。野坂は意外と大人なとこがあるからな…。

「…野坂くん！」

杏奈が来た。

「野坂くん、あなたはもうサッカーをできるほどじゃ…」

「それでも、僕はやるんだ。君には見てもらいたい」

「でも…」

野坂は去る。

『先行ってろ。杏奈と話したいことがある』

「分かった」

「なんですか、話って」

『杏奈は知ってんのか？野坂の脳腫瘍のこと』