特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ25)

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西蔭と野坂の出会いページ25

雷門が5ー4で勝った。雷門は試合を重ねるたびに強くなってる。

調べたら初めて星章と戦ったときはデブ…小僧丸しか必殺技を使えなかった。でも美濃道三のときに氷浦と岩戸が必殺技を完成させ、それからも…。

あいつらを強くさせてるのは何だ？監督も怪しいし。

「Aちゃん、行くよ」

『あ、あぁ…』

『西蔭、野坂のこと聞きたい』

寄宿舎に戻ってすぐ西蔭のとこに行った。野坂から聞くこと以外にもなんかあるはずだ。やっぱ野坂のこと知りたいんだよ。

「あ、はい…」

『なんかダメか？』

「いえ…。最近野坂さんも宮谷さんもお互いのことばかりで…」

あぁ、西蔭には付き合ってること言ってないか。まぁ、言いたくねぇな。

『あー…別に。
西蔭ってなんでそんな野坂についてってんのか教えてほしいんだけど』

関係ないこと聞いてどうすんだっての…。

「宮谷さんに教えることじゃありません」

『ならどうやって出会った？』

「それは…。
俺は昔不良で…。」

は？西蔭が不良？意外だな…。てかこれは教えんのかよ。

「ある日火事があり、高い場所に女の子が取り残されていました。俺は助けようとしましたが、無理でした。
ですが、そのとき野坂さんが現れました」

昔話聞いてる感覚。いや、そんなのどうでもいい。野坂は昔から優しかったんだな…。

「炎の中に入り、女の子を抱えて飛び降りました。とても無茶です。でも、俺は無茶をしてまで助け出す野坂さんに、心を動かされました」

自分も危ないってのに飛び降りるとか、バカかよ…？

そう思ったのに、私には野坂の優しさしか感じられない。

「野坂さんは、自分が犠牲になったことで女の子が助かったなら存在した意義がある、と言っていました」

『そんなことしなくたって、野坂には充分に存在してる意義があんだろ…、なんであいつは…』

「俺が野坂さんについていこうと決めたのはそれが理由です。言ってしまったのでもういいです」

言わないとか言ってたのにな。でもそれだけ野坂を尊敬してるってことだ。

『ありがとな。
私も野坂のこと知りたいから』

「これ以上は言えません」

『野坂のことちゃんと見てろよ。あいつは今危ないからな』

私は部屋を出ていった。

「危ない…？」

西蔭はまだ知らない。

野坂はどこまでもいいやつ。最初はうっとうしかった野坂が、今では絶対的存在になってる。

『野坂だけは特別だな…』