特別な私の皇帝【野坂悠馬】 (ページ17)

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本選一回戦ページ17

本選一回戦日。

いよいよ試合…。野坂の、いや、王帝月ノ宮のサッカーが見れるんだ。

「試合中の作戦指示はアレスの天秤の状況分析をもとに、暗号コードによって提案される。くれぐれも見落とすことのないようにな」

「分かりました」

王帝月ノ宮の監督の嵐新次郎が指示を出す。

「それと、言っておくが、私は常にお前たちを見ているぞ。アレスへの不信感を抱いたり、命令に背く気配があれば、即刻処罰する。いいな？」

「そんな者がこの中にいるとは思えませんが」

嵐の厳しい言葉に野坂が反応する。

「ならいいんだが。みすみす脱走者を取り逃したキャプテンがまとめるチームだ。ちょっと不安でな」

『全部野坂のせいにすんじゃねぇよ、監督さん！』

なんかすっごいムカつく…。

「お前もだ、宮谷A。アレスの天秤を受けてないやつがいて、さらに初心者。こんなのでは王帝月ノ宮がバカにされるだろう！」

『知るか！監督さんに許可とれなんて言われてねーし。私は一応、この社会のために入ったんだよ！』

何も言わない。

はぁ～、ムカつくな…。しかも出れねぇし！なんで出させてくんねぇんだ、この監督！

ピッー

そういえば試合見るの初めてだな。試合出なくて良かったか。

キックオフしてすぐ野坂がフィールドの悪魔の灰崎からボールを奪った。そしてキーパーが反応できず、点が入った。

「オーバーヘッドペンギン！」

灰崎が帝国で有名なペンギンシュートを撃った。

…が、西蔭はやすやすと止めてしまった。

西蔭は野坂にパスし、野坂は星章イレブンの足を狙い始めた。

あの練習か…。

野坂だけじゃなく、他のやつらも足を狙ってる。

『あーあ～。私も出たいなぁ～？』

嵐をちら見しながら言ったが、反応すらしない。

そのとき、初めて星章が野坂から、王帝月ノ宮からボールを奪った。

ここから見てても分かる…。野坂は本気だ。今までの様に必死に社会の未来を思って戦ってる。それ以外に目的はないような真剣さが伝わってくるんだ…。

ハーフタイムに入って、今は3ー0だ。