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最近、今まででにないぐらい楽しい。
それに睡魔にも襲われん。
休み時間にみんながどんなふうに過ごしてたのか知らんかった。
先生が卒アル用に写真を撮ると説明してくれて、みんな気にしないでいてくれる。
「今日は風が心地ええな…」
自分の頬を風が撫でる。
北「藤田」
「…北くん、びっくりさせんといて」
そんなにびっくしてへんやろ、と返される。
突然現れるかる困るんや、そう言い返す。
北「楽しそうなとこ悪いんやけど、保健の先生が呼んどる」
そう言われ教室の外を見ると、先生はファンに囲まれておった。
「男女問わずって感じやな」
そう言い残して先生の方へ向かう。
先「あ、藤田さん」
「どうしましたか」
未だにファンに囲まれておる。
先「ここじゃあれやから、保健室に行きましょ」
-保健室-
先「最近、症状がでないみたいやね」
「はい、写真撮るのが楽しくて。そのお陰かもしれません」
先「そう、でも無理せんといてな。私、貴女のこと心配してるんよ」
そう言ってうちの頬を撫でる。
「ありがとうございます。治療方法があれば助かるんですけどね」
海外にもたくさんおる発症者。
せやけど、治療方法は見つかっておらん。
先「まあ、心配してるのは私だけじゃないけどね。
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ね、北信介くん」
うちの頬を撫でていた手を止めて後ろの扉見る。
扉を開けて出てきたのはホンマに北くんやった。
「北くん…?」
北「すまん、着いてきたら話が聞こえた」
てことは、病気の事もバレたんかな。
先「北くんも藤田さんが心配なんやろ?分かるで、その気持ち」
そう言うと再びうちの頬を撫でる。
先「この子はホンマに可愛い子や。
TVでこの病気を知ってから患ってる人に会ってみたかった。そしたら、ここで出会えた。あの病気の名前がピッタリな美人の少女」
なんやろか、うちを見る目が優しいんやけど今にも食われてしまいそうや。
そんなことを思っておると、
グイッ
「わっ…」
北くんに引き寄せられていた。
北「藤田、戻るで」
腕を引かれて保健室から出る。
「北くん、北くん」
名前を何回か呼ぶと、ようやく止まった。
北「俺ってそんなに頼りないんか」
目を伏せて言う彼の言葉が、何故か胸に刺さった。
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作者名:黒雪-クロセ- | 作成日時:2014年10月13日 12時