【ゲゲゲの謎】同僚が知らん男と子どもを抱えて帰って来た (ページ6)

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6話ページ6

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「買い物、ですか」

「嗚呼、此処を出ていくにも手ぶらじゃどうにもならないからな、厚かましいのは承知の上なんだが………」

水木という男のこの表情を見るのは二回目だな、なんて他人事の様に思う自分がいる。

彼が瞬きすると同時に目元も傷も其れに引っ張られ形を変える。
彼の目元なんて見たことも無かった私にとって、初めての発見であった。

「土地勘がないゲゲ郎さんの案内役、ですか…」

三人集まって買い物をするには時間が掛かり過ぎるので、二手に分かれて食料と日用品を買いに行くらしい。

此処らに住んでいる水木さんは兎も角、ゲゲ郎さんは見るからにこの土地で浮いている存在だ。

本人にも放浪癖があるらしく、一人で買い物を任せるのは安心出来ないという話だった。

子どもか

何年も生きているという雰囲気を漂わせているのに実のところ彼は唯の子どもなのではないかと思えてくる。

「…まァ、いいですよ
私もそろそろ食料の買い出しに行きたかったですし」

「…ほんっとーに、助かる…すまない」

水木さんは申し訳なさそうに頭を下げる。
私が案内をするゲゲ郎さん御本人は何も無い空間をじっと見つめ上の空といった所だった。

貴方の話ですけど、貴方の。

怒りをお茶と共に飲み込み、何とか自分の気持ちを抑えることに成功した。

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「ゲゲ郎さん、其れ店のものです、触らないで下さい」

「ゲゲ郎さん、何処行くんですか、此方ですよ此方」

「ゲゲ郎さん、押し売りに負けないで下さい何ですかそのハイカラな服」

なんだ、この人。

やんちゃな子ども所の騒ぎではない。

好奇心の強い猫のようにあっちへこっちへとフラフラする自身より身長の大きい男。

先程から私は何回ゲゲ郎さん、と口にしているのだろう。
長椅子に座り肩で息をする私の横で一息つくゲゲ郎さん。

全部貴方のせいですけどね、全部。

「すまんのぉ、見た事のない物ばかりが故…興味をそそられて堪らんのじゃ」

「気持ちは分かりますけど……分かりますけどぉ」

何だか肩が凄く重くなった。
この人を相手にしていたら命が幾つあっても足りなくなるんじゃないかと思えてくる。

紐が欲しい。彼の首にそれを巻いて何処かにふらりといなくなるのを防いでしまいたい。

主に私の体力の為に。

「ふむ、お主…憑かれておるな」

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