【ゲゲゲの謎】同僚が知らん男と子どもを抱えて帰って来た (ページ5)

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5話ページ5

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「ぁ〜ぅ、んーぁい」

目を開けると目の前に広がるのは天井ではなく茶髪の子どもの姿。私の顔をぺしぺしと叩き、何が面白いのかは分からないが機嫌良く笑っていた。

「朝………」

床で寝たせいで痛む身体をゆっくりと起き上がらせる。
私の顔を叩いていた赤子はその様子をじっと見つめていた。

何を考えているのか私にはさっぱり分からない。

子どもは苦手だ。

何を考えているのか分からないのもそうだが、ある程度言葉が話せるようになると喚くし我儘を言う。

都合が悪くなると泣き出すし、大人という立場にある私達は子どもを甘やかさないといけなくなる。

何より

「きゃ、ぁ、うー、」

「はは、何笑ってんだか…此方は君のせいで大変だってのに」

子どもの笑顔を見るとそれらの不満が何処かに飛んでいってしまうこと。

本当に子どもは苦手だ、狡くて可愛い。

悪戯心から張りのある頬をツンと指でつついてみる。
自分が何をされているのか分かっているのかいないのか、赤子は笑い続けていた。

そんな私の真後ろで誰かが襖を開ける音がする。

私はびくりと身体を揺らした。

「おぉ、起きたか」

「ぇっ！あ、お、おはようございます

げげろうさん…」

赤子をつついて緩んでいた表情が固くなる。
悪いことをしている訳でも無いのに、つついていた手を引っ込め背中に隠した。

本当にこの人は心臓に悪い。

私は気配に敏感な方だと自負しているが、どうにも彼の気配だけは全然感じ取れない。

あの光景が見られてやいまいかと冷や冷やする。

悪いことはしていない、悪いことはしていないが…。

ただ単純に、小っ恥ずかしい。

「御早う、…ふふ、我が子の頬は柔らかろう？」

「え゛ッあ、っ…は、はぃ」

見られていた、バッチリ見られていた。

何故だか頬に熱が集まって来る。

幸せそうに笑うゲゲ郎という男は私が狼狽えるその様子でさえ微笑ましい目でみてきた。

最後、私をあやす様に寝かし付けていたあの目とおなじ落ち着いた音色と表情。
何故だが、鮮明に覚えているあの謎の夢。

「あの…ゲゲ郎さん」

「何じゃ？」

あれは本当に夢だったんですか？

そんな言葉は、私の口から出ることはなかった。

「いえ、矢張りなんでも有りません…」

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